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2010年6月22日

朝井リョウ「桐島、部活やめるってよ」


桐島、部活やめるってよ桐島、部活やめるってよ
朝井 リョウ

集英社 2010-02-05
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去年の「小説すばる新人賞」受賞作を読んだ。
現役の大学生(今までは、女子高生や女子大生が多かったけれど、男の子)が書いた青春小説ということで、TVなどでも話題になっていたから、気になってはいたけれど、正直、そう期待はしていなかった。

ただ、本屋で数ページ読んで、滅多に単行本など買わない私が、衝動買いしてしまった。
ものすごい引き込まれた。途中まで読んで、「うわぁ、すごいなぁ」と思い、最後まで読んでも、やっぱりよかった!

賞の傾向をつかむために、新人賞受賞作は結構読むのだけれど、デビュー作でこんなに満足感を味割ることは滅多にない気がする。
私の密かな自慢は、デビュー作を読んで「この人は、今後活躍する」「この人は、この1作だけだな」という読みが大体当たること。
朝井さんも絶対、書き続けていく人だな、と思う。
焦って変な2作目を出してはほしくないけれど、次の作品が楽しみ!
ただ、こういう「若い感性」をずっと保ち続けていかれるのか、それとも、ある時点で作風を変えるのか、20代後半以降の方向も気になるな。

と、がーっと書いてしまったけれど、どんな作品かというと、5人の同じ高校の生徒の視点から書かれた5つの短編集。
タイトルの「桐島」は、バレー部のキャプテンなのだけれど、桐島はバレー部の生徒の視点で書かれた1つの短編のなかの回想シーンに何度も登場するだけで、あとはちょっとした会話の端に現れるくらいしか出てこない。
ただ、「桐島」が部活をやめることによって起こった小さな変化を、それぞれの生徒の視点で描いていき、最後には、なんとなく1つの作品にまとまっている。

この、「え? 桐島って結局、それしか登場しないの?」という驚きの構成もすごいけれど、この作品の何がすごいって、描写力だと思う。
文学っぽい、きどった描写じゃなく、若者の方言混じりの日常的なコメントが、心に響く。

きっとほとんどの人は、自分の高校時代を思い出すんじゃないかな。
自分の高校時代には携帯なんてなかったし、随分違うんだけど、心の中にあるうまく表現できない痛みとか迷いみたいなものは、いつの時代も共通なのだろう。

お薦め!!!

2010年4月11日

奥田英朗「町長選挙」

町長選挙 (文春文庫)町長選挙 (文春文庫)

文藝春秋 2009-03-10
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最近、ぼけていて、以前読んだ本を買ってしまったり、以前見た映画のDVDを借りてしまったりする......。

この「町長選挙」も単行本のときに読んでいたのに、忘れて文庫本を買ってしまった(汗)

でも、再び楽しめた。

この作品は、「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」に続く、精神科医・伊良部先生が主役の第3弾のコメディ。

短編4つで構成されていて、最初の3つは、名前を変えているけれど、あきらかに巨人のオーナー渡辺さん(今もオーナー?)、ほりえもん、黒木瞳を風刺した内容になっている。

単行本で読んだときはそれなりに「今」の話だったので、おもしろおかしく読みながらも、こうやって実在の人物を使うのはどうかな......と思い、「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」に比べるとちょっと落ちるかな、と思っていたけれど、時代のブームが去って、改めて読むと、なかなかよく考えて組み立てられている作品だなぁ、と思った。

「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」「町長選挙」とも、なにか心に不安などがあり、それがなにかしらの症状になって表に出てきてしまっている人が、精神科医の伊良部先生のところに行く、というところから始まる。
でも、伊良部先生は、太った子供みたいな、「馬鹿としか思えない」おじさん。
ただ、人目も気にせず、脱力して、超自然体で生きている伊良部先生が、呟くような感じに口にする言葉が、案外的を射ていて、ちょっとずつ「患者」が快方に向かう、という話。
すっごく簡単にまとめると。

この話は、ただひたすら、伊良部先生のキャラクターの魅力によって作られている。非常にバカなようで、でも、もしかしたら、ものすごく色々なことを考えていて賢いのかもしれない、とほんの一瞬思わせ、でもやっぱり、バカなんだろう、としか思えない......というキャラクター。

一つ一つの行動や、言葉が非常に面白い。

でも、1回目読んだときは、ただ「コメディ」として読んで、笑って楽しんで終わりだったのだけれど、改めて読んでみると、意外と深いテーマがそこに潜んでいるようにも思えるし、一人ひとりの患者の「立場」と、現れる「症状」と、「解決策」が素晴らしく説得力のあるつくりになっているということにも気づく。

改めて、奥田さん、すごい!
と、読み返してみて思った。
このシリーズ、読んだことがない人は、本当、読んで!!
これぞ、エンタメ小説!

DVD「ココ・アヴァン・シャネル」

ココ・アヴァン・シャネル特別版 [DVD]ココ・アヴァン・シャネル特別版 [DVD]

ワーナー・ホーム・ビデオ 2010-01-20
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「アメリ」の女優さんがシャネルを演じた映画をDVDで見た。
最近ようやく家も地デジ対応の液晶テレビになったのですが、今までテレビなど見られればいいと思っていたけれど、DVDを見るときはやはり、新しくなって良かった、と思う。
フランス映画らしく、かなり映像に気を使った美しい映画だということが、それで分かったので。

恋愛映画としてはおもしろい。飽きずに見られるし、上にも書いたように、映像もきれい。
シャネルの時代の風習や貴族的な生活も垣間見られて、なかなか心地よい作品だった。

ただ、この映画の核はなんだろう?
シャネルの映画というので、孤児から自力でトップデザイナーに上り詰めるまでを描いた作品かと思ったが、「自力で這い上がる」というより、ただたまたま知り合った貴族の世話になり、いいように利用したり、普通の女性らしく恋愛も楽しんでいる、というようにしか見えなかった。
それが非常に残念。

別に、シャネルの話であったって、「知られていない女性としての一面を描いた」ということで、描ききって、宣伝もそうやってもいいと思うのだけれど、中途半端に決められていないところが、評価を下げる一因だろう。
最後、唐突にデザイナーとして成功しちゃっているのも、うむ......だった。

やはり、エンターテイメントであろうと、芸術作品であろうと、表現するからにはなにかしら人に伝えようと思って作品をつくっているわけで、伝えようと思うなら、「何」を伝えたいのか考え、それを伝えるためにはどういう構成が必要なのか考えるのが大切だな、ということを改めて思った。

ただ、そんな変な「作り手」の批評の目を持たず、純粋におしゃれな映画を楽しみたい、ということなら、問題なく薦められる作品でもあった。
決してつまらなくもないし、駄作でもない。
ただ本当に、軸がぶれただけだ。

2010年3月 8日

伊坂幸太郎「あるキング」


あるキングあるキング

徳間書店 2009-08-26
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1年位前に出た伊坂さんの本を読みました。
順番としては、多分「ゴールデンスランバー」や「モダンタイムズ」の次あたりに書かれたものでしょうか。

一言でいうと、
「やっぱり、2作、力作を書いたら、エネルギーの充電期間が必要ですよね」
というような作品でした。

伊坂さんの良さがどこにもなかった。

ストーリーは、非常に弱いプロ野球チームのファンである両親が、息子を野球選手にして、そのチームの選手にしようとする話......かな。
ただ、その「息子」が生まれつき、非凡な才能に恵まれているので、プロになるのも、活躍するのも当たり前すぎて、うむ......って感じ。
才能がある分、環境には恵まれていないという設定なのだろうけれど、「困難を克服して成功する」という青春もののよさもなく、純文学的なテーマの深さもなく......なんだったんだろう??? と......。

その話に「マクベス」を被せようとする試みは、おもしろいと思うけれど、「マクベス」はあまりに有名なので、逆にちょっとひいてしまった。
でも活字離れの叫ばれる今、マイナーな作品をオマージュしても、誰も気づかないだろうし、文学を成立させるのは難しくなっているのかもしれない。

 

プロ、特に売れている専業作家の場合、どんなコンディネーションでも、書かないといけないんだろうな、と思うので、別に作品にむらがあってもいいとは思うけれど、伊坂さん自身が、こういう作品が「いい」と思っているなら、「伊坂さんの本は全部読むぞ」という想いは続かないかもしれない。

「チルドレン」「重力ピエロ」「アヒルと鴨のコインロッカー」「ラッシュライフ」「オーデュボンの祈り」のような作品がまた読みたい。
というのが、ファンの切実な気持ちです。

2010年2月13日

東野圭吾「殺人の門」


殺人の門 (角川文庫)殺人の門 (角川文庫)

角川書店 2006-06
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決して前向きな明るい話ではなく、どちらかというと、暗い気持ちになってしまうような話なのだけれど、それでも、ぐいぐい先へ先へひっぱっていく物語の力に導かれ、非常に楽しく読めた本だった。

テーマは、「人はどんなとき、人を殺すのか」。
主人公は子供の頃からそんな「人を殺す心理」に興味を持つ。
彼が、唯一継続して殺意を感じるのは、小学校時代からの「友達」だった。
この小説のストーリーの核は、結局主人公はその「友達」を殺すのか。

でもこの「友達」、相当な曲者。
非常に小賢しい。
ただ、非常にむかつく奴で、主人公の人生はそいつの存在のせいで、何度も狂わせられるので、読者もその「友達」に殺意に近いものを感じたりするのだけれど、それでもどこか憎みきれない、少し複雑なキャラクターが、非常に巧みに描かれている。

細かい部分まで気を遣って、精密に組み立てられている作品だった。

私は、基本的には、もっと人の善意を信じられるような作品のほうが好きだけれど、こういう作品は、はらはらしながら楽しんで読めていい。
先が気になる小説が手元にあるときは幸せだ。

そして、こういう、人物を細かく丁寧に書き出した、ストーリーより人物に重きを置いた小説を読むと、しばらくその登場人物たちのことが、読み終えたあとも気になり続けてしまう。

2010年2月 7日

森絵都「風に舞いあがるビニールシート」


風に舞いあがるビニールシート (文春文庫)風に舞いあがるビニールシート (文春文庫)

文藝春秋 2009-04-10
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良かった。
すごく良かった!

この作品は直木賞を獲ったもので、一時期話題になっていたから気にはなっていたのだけれど、森さんは「児童文学作家」の印象が強く、前回読んだ「DIVE」は、なかなかおもしろく読めたのだけれど、子供向きで、マンガを読んでいるようなテイストだったので、正直、今回の作品もそんなに期待していなかった。

でも、こんなにタッチからテイストからすべてを変えられるのだなと驚くくらい、「児童文学」の色はまったくなく、非常に上質な、大人向けの、深みのある作品集だった。

この本は6つの短編作品で構成されていて、6つの作品にはなんのつながりもない。
この6つにしても、それぞれ違う作家が書いたオムニバスと言われても納得してしまいそうなくらい、全然視点も書き方も違う。

ただ、帯に書かれているように「大切な何かのために懸命に生きる人たちの物語」という共通のテーマにだけ貫かれている。

最後の「風に舞いあがるビニールシート」は、難民を支援する国際機関を舞台にした話だし、6つのなかには決して明るくはないテーマも含まれている。
すべてが思うようにいくわけではないし、むしろ、思うようにいかないことのほうが多い。
普通の大人の人生がそうであるように。
ただ、そういう上手くいかないことの多いなかで、それでも必死に何かを守ろうとしたり、何かを得ようとしたりして、みんな、頑張っている。
その一生懸命さや、まっすぐであるがゆえの不器用さなどが、非常に良かった。
ひとつひとつの話を読みながら、自分の人生にも上手くいかないことは色々あるけれど、もっとできることを頑張っていこう、と明るい気持ちになれた。

先が気になったり、読んでいて楽しいと思える作品はたくさんある。
でも、「もっと頑張ろう」とか「きっと生きていればいいことあるよね」とか、小説の世界を超えて、自分の抱える世界にまで影響を及ぼしてくるような作品には、久しぶりに出会った気がした。
そして、本来、小説を読む楽しみって、こういうものだったな、なんてことを思い出したりした。
(昔大好きだった、鷺沢萌さんの「海の鳥・空の魚」を思い出し、久しぶりに読みたくなった。あの本も、日常の中で一生懸命に生きる人たちを主人公にした、元気をくれる作品だった)

正直、1作目はよさがよく分からなかったけれど、最後の「風に舞いあがるビニールシート」と、『ジェネレーションX」が良かった。「風に舞いあがる......」は、良かったけれど、ここから読んだらダメだと思う。色々な人の懸命な人生を味わった最後に、この話を読むことに意味がある気がした。

本当、お勧めなので、是非、読んでください!

伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」


ゴールデンスランバーゴールデンスランバー

新潮社 2007-11-29
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本屋大賞受賞作「ゴールデンスランバー」をようやく読んだ。
こういう重たい単行本はなかなか持ち歩く気にならないので、家でちょっとずつ読むことになり、その結果、なかなか読み終わらないのでだけれど、非常に伊坂さんらしい、楽しい本だった。

ストーリーは、「首相暗殺犯に気づいたら仕立て上げられ、必死に逃げる」と、簡単に説明するとそれだけだけれど、「魔王」などから続く、政治的な力に対する想いがテーマになっている。
ただ、真正面からそれを受け止めて書くと非常に暗く重い作品になってしまいそうだけれど、伊坂さんの作品ではそうはならない。
どんな危機的な状況であろうと、冗談を言ったり、思わず笑ったりする余裕が伊坂さんの作品の登場人物には常にある。それがいいのだろうな。

逃げるさなかに起こる一つ一つの出来事が、すべて「ちょっとありえない」感じなのが、「ただ逃げるだけの作品を決し飽きない起伏のある作品に仕上げている。
伊坂さんの作品の魅力は、ストーリーよりも、キャラクターと一つ一つの小さな設定を考える発想力なんだな、ということを改めて感じた作品だった。

伊坂さんの小説は、半分くらいが既に映画化されているけれど、この『ゴールデンスランバー』も近々映画化されるらしい。テレビのCMも良く見るから、配給会社もかなり力を入れているな。

伊坂さんの作品を原作とした映画に堺さんが出るのは、『ラッシュライフ』につぎ、2回目。
堺さんのちょっと飄々とした雰囲気が、確かに伊坂さんのワールドにマッチしそうな気がする。

2010年1月23日

「マンデラの名もなき看守」


マンデラの名もなき看守 [DVD]マンデラの名もなき看守 [DVD]

ポニーキャニオン 2009-04-24
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TSUTAYAで、「そういえばこの映画見たかったんだよな」と思って借りたのだけれど、見始めて数分で、「見たかったから見に行ったんだ」ということに気づいた(汗)

でも、非常に淡々とした静かな映画なのだけれど、しっかりとした物語の核というか流れがあり、思わず最後までまた見てしまった。

どんな話か簡単にいうと、マンデラ大統領が大統領になる前、南アフリカでは黒人と白人を差別するアパルトヘイトが行われていて、黒人は迫害され、マンデラもずっと刑務所に入れられていた(政治犯として)。

主人公は、黒人の使う言語が分かるということで、マンデラ付きの看守になる。

ただ次第に、「黒人はテロリスト。危険だから、塀の中に入れている」という自分たち白人の考えが本当に正しいのか、分からなくなってくる。

白人は、「黒人は、白人から国を奪おうとしている」と言うが、マンデラが訴えるのは、白人も黒人も平等に権利を持っているということ。

自分たちは、上の人たちの都合のいい思想をただ植えつけられて動いているだけなのではないかと思い、少しずつ、自分の頭で考え、行動するようになる......というような話。

爆破事件も、事故に見せかけた殺人も、なぜか非常に淡々と描かれ、話はただ続いていくけれど、淡々と語られるがゆえに逆にリアルに心に残ったりする。

感動して泣ける、というような感じの作品でもないけれど、最後は心の深いところがちょっとあったかくなるような、そんな映画だった。

「アカルイミライ」


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メディアファクトリー 2003-06-27
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以前から気になっていた映画をDVDで見た。

小説だったら「純文学」にカテゴライズされるであろう、エンターテイメント性は希薄な作品。

浅野忠信とオダギリジョーという個性的な俳優2人が「ツートップ」として出ていて、それだけで気になるのだけれど、二人のあの不思議な存在感が、非常に生きた、良い作品だった。

最近、小説のほうは「純文学」の良さが分からなくなってきているのだけれど、映画は、いまだに、こういう、いまいち意味はよく分からないし、特にストーリーがかっちりとあるわけではないけれど、でも、確固たる世界があり、描写が美しい作品に心惹かれる。

特に、クラゲが美しい。
私も、江ノ島水族館に行くと、つい、クラゲコーナーでぼーっとしてしまう人なので......。

好き嫌いは分かれる作品だろうけれど、見てよかったな、と思える作品だった。

三浦しをん「まほろ駅前多田便利軒」


まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)

文藝春秋 2009-01-09
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少し前(2006年)の直木賞受賞作。

最近三浦さんの名前もよく見かけるので、気になってはいたけれど、読んだのは初めて。

とてもしっかりとした世界観があって、世界にちゃんと浸れる作品だった。
ときどき「うわぁ、なんて上手いんだろう」と思える作品というのがあるけれど、三浦さんの上手さは、「上手い」とも意識させない、さりげない上手さの気がする。
本当にリアリティのある上質な作品は、その作り手の技量になど目が向かないくらいしっかりと完成され、そこで完結しているものなのかもしれない、などと思わせるような......。

主人公も、主人公にくっついてくる主人公の同級生も、なんだか危なっかしくて、どこかまともじゃないのだけれど、非常に「愛すべきキャラクター」になっている。

この作品の魅力は、そういった「登場人物」と、そして「まほろ市」という架空の(でも舞台になっている町は明らかにある)場所の魅力なのだろうな。

小さな事件が起こり、1章でひとつずつ解決していっているような、解決せず、すべてがそのまま主人公の背中に乗っかってきているような、不思議な連続感も良かった。

三浦さんのほかの作品も読んでみたい。

 

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