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2013年5月25日

「9つの性格 エニアグラムで見つかる「本当の自分」と最良の人間関係」

9つの性格 エニアグラムで見つかる「本当の自分」と最良の人間関係 (PHP文庫)9つの性格 エニアグラムで見つかる「本当の自分」と最良の人間関係 (PHP文庫)
鈴木 秀子

PHP研究所 2004-01-06
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★人間の本質は9つのタイプに分けられる★

 TA(交流分析)のいう「エゴグラム」と混同されがちなのだけれど、心理学の世界には、エゴグラムとは別に「エニアグラム」というものがある。

 以前から、人を「9つのタイプに分ける」という考え方は知っていたけれど、最近、エニアグラムを専門にされている人に出会うことがあり、再び興味を持って、本を購入。

 診断もあるし、それぞれのタイプの長所や短所について、細かく書かれているので、自分が多分、このタイプだろうというのを見つける参考になる。

■9つのタイプとは具体的には......

 1.完全でありたい人
 2.人の助けになりたい人
 3.成功を追い求める人
 4.特別な存在であろうとする人
 5.知識を得て観察する人
 6.安全を求め慎重に行動する人
 7.楽しさを求め計画する人
 8.強さを求め自己を主張する人
 9.調和と平和を願う人

 らしい。

 期待される役割や環境に応じて、外面は変わっても、根本的な部分として、「エニアグラムは一生変わらないもの」だというのが、この理論の特徴。

 どうも、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンという神経物質の「高」「中」「低」を組み合わせからきているタイプ分けらしい。そして、それぞれの物質が出やすいか出にくいかは、生まれ持ってほぼ決まっている、と。

 エゴグラムは、その時その時、環境によって左右されるし、「これを伸ばしたい」と思うと変えていかれるので、ある意味、研修などで使うと結果が出しやすいと思うけれど、エニアグラムの専門家によると、「ベースにあるのはエニアグラムのいう人の基本的な性質(OSみたいなもの)で、TAはその上に載っているソフトというイメージ。ソフトの方が変えやすいけれど、やはりベースを見て、相手に接した方が、相手には届きやすい」ということ。エニアグラムの理解もあると、人と接するときにはいいらしい。


 ただ本にも書いてあったけれど、「この人はこのタイプ」「自分はこのタイプ」とすぐに分かる人もいれば、判断が難しい人もいるということなので、本を読んでも、「まさに!」と思う人と、「結局自分は何だったんだ?」で終わってしまう人がいる可能性はある。
(でも、案外人のことの方が分かったりはするかも。それだけでも、その人への接し方が学べる)

 もし自分のタイプに自信が持てない場合は、多くの人の集まるセミナーなどに行って、自分と同じタイプだと思われる人と話をすると、確信が持てるケースも多いらしい。


 私は自己診断をすると「1」や「3」になるのだけれど、エニアグラムのプロの見立ては「9」だった(その方は、「名刺交換したくらいでも、大体タイプは分かります。顔立ちや服装、仕草、声の出し方、オーラみたいなもので感じ取れますね」と言われていた)。

 自分では自分のことを、「目標を定めて、そこに向けてコツコツ努力する人間」だと思っていたので、「あくせくせずに、のほほんと平和に暮らすのが一番だよ」みたいな「9」だというのは意外だったけれど......。
 でもまぁ、考えてみれば子供のころは、何をするのも一番遅くて、「マイペースです」と常に評されていたな......私(汗)

 
■無料診断は下記のサイトでもできるみたい。各タイプの説明も詳しく、親切
 http://shining.main.jp/enia9.html

2013年5月22日

佐藤 義典「売れる会社のすごい仕組み~明日から使えるマーケティング戦略」

売れる会社のすごい仕組み~明日から使えるマーケティング戦略
売れる会社のすごい仕組み~明日から使えるマーケティング戦略佐藤 義典

青春出版社 2009-08-01
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「お薦めマーケティング本」として紹介されていたので、マーケティングを初歩からきちんと学ぼうと購入。

 イタリアレストランをどう繁盛させていくか、というストーリー仕立ての本なのだけれど、読みやすいのに、中身は濃くて、びっくり!

 難しい内容を、非常に分かりやすい例で説明してくれている、とてもよい本だった。

 マーケティングをすでにかなり学んでいる人には物足りないのだろうけれど、「初級」から「中級」くらいまではまかなえそうな内容。
 特に、飲食業とか小売とかの「中小企業」の場合は、あまり専門的なことを勉強しても逆に使えないと思うので、これくらいシンプルな仕組みの方が、現実的で、使いやすいかもしれない。
 そういった意味で、たとえば社労士が、中小企業の社長と話をするとき、人事周りのことだけではなくて、商品の売り方についてもちょっとしたアドバイスをする、なんてときには、非常に使える本だと思う。
 社労士がマーケティングのプロになる必要はないと思うけれど、やっぱり、「どうやったら売り上げを上げられるか」が社長の一番の感心事なわけで(いや、一番は資金繰り?)。

 また商品のコピーを書くにしても、「誰に」「何を強調して」伝えるか、という戦略がなければ、文章がいくら読みやすくて、美しくても、何の意味もないので、やっぱりマーケティングの知識は大事。
 今まで「勘」でやってきたけれど、改めてしっかり知識が整理されて、非常に良かった。

★内容の一部を紹介★

■差別化には3つの軸がある
  1.手軽軸......安い・早い・便利
  2.商品軸......高品質・新技術
  3.密着軸......顧客の個別ニーズに対応
 自分の会社がどの軸でやっていくのかを決めなければ、ターゲットは誰か、競合はどこかは分からない。
 
■売り上げを上げるには5つの方法がある
  1.新規顧客の開拓
  2.既存顧客の維持
  3.購買頻度の向上
  4.購買点数の増加
  5.商品単価の向上
 どの方法で売り上げを上げていくのかを考えるときには、自分たちがどの差別化戦略を選んでいるかとも関わりがある。
 たとえば手軽軸なら、単価が安い分、お客の数を増やすために、新規顧客を常に開拓し続ける必要がある。商品軸なら、商品単価の向上を考えてもいいが、新規顧客開拓のために割引セールをするなどというのは、誤った戦略になる。

■潜在顧客がファンになるまでの7つの関門
  1.認知
  2.興味
  3.行動
  4.比較
  5.購買
  6.利用
  7.愛情
 現状、「ファン」が増えていないとしたら、どこで止まってしまっているのか考える必要がある。ボトルネックがあれば、その解消は大切だが、必ずしも若い番号から手を付けていけばいいわけではない。むしろ、下の方から手を付けたほうがいい場合も多い。
(たとえば利用した人の評価が悪く、ファンにならないのなら、「6」まで進む人の数を増やしても、クレームが増えるだけで、ファンは増えない)


 などなど、言われてみればもっともだけれど、自分のなかでしっかり整理されていない部分が、非常に分かりやすくまとめられていて、良い本だった。しばらくは手元に置いて、目の前の仕事に色々応用しながら、使えるようになっていきたいと思う。

 上記以外にも、「なるほど!」という解説や、言葉が満載なので、少しでもマーケティングに興味のある方にはお勧めです!
 

2013年5月 1日

平田オリザ・蓮行「コミュニケーション力を引き出す」

コミュニケーション力を引き出す (PHP新書)コミュニケーション力を引き出す (PHP新書)
平田 オリザ 蓮行

PHP研究所 2009-08-18
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 望月先生がPDCA研修で薦められていた本を読んでみた。

"演劇人"である平田オリザさんと蓮行さんによる、「演劇ワークショップを活用した企業研修のすすめ」みたいな本。
 なかなか新鮮な視点がたくさんあり、面白かった。

 蓮行さんという人は初めて知ったけれど、京都で「劇団衛星」という劇団を主宰しているらしい。しかも「劇団衛星は全国的にも珍しい、団員全員がプロの劇団」ということ。
 私も「元演劇人」だけれど、大学時代は「劇団員がそれだけで食べていかれる劇団は四季だけ」というのが常識だった。
 でも、チケット代だけで経費と団員の"給料"を出そうとするからハードルが高いわけで、企業研修の講師や、学生に向けたワークショップの講師などの仕事を増やせば、"演劇"というのも立派に稼げる仕事に育つ可能性はあるのだな。......と、まずそこから、非常に感心してしまった。
 このあいだ読んだ高橋歩さんの本では、「自伝を出したいために出版社を立ち上げる」という経歴に目から鱗だったけれど、どんなことでも、"無理"とさえ決めつけなければ、可能にする方法は無数にありそうだ。

 と、まぁ、蓮行さんのプロフィールについて語るのはこの辺にしておいて......。

 この本は、「演劇」の歴史や、海外では「演劇」教育がどれだけ重視されているかなどを語る"理論"の章もあるけれど、多くは、「実際、演劇を使った研修って、どんなカリキュラムで、どんなことをするの?」ということについて説明するために割かれている。
 蓮行さんのお薦めする研修のプランは、初めは発声練習から始まるのだけれど、なぜ発声練習が必要なのか、という意味づけや、発声練習などしたこともない人にどうやって腹式呼吸での声の出し方を教えるかという細かいテクニックまでしっかり書かれている。
 たとえば発声練習の必要性については、「高くて大きな声は、危機を伝えるためには大切だけれど、内容は聞き取りづらい。しかも人をイライラさせやすい。しかし、トレーニングをせず、人間本来のプログラムで大きな声を出そうとすると、自然と声は高くなってしまう。だから発声練習をすることで、大きいけれど人を不快にさせない声を出せるようにることは大切だ」......というような感じに、きっちり説明されている。さすが京大卒!(笑)

 発声練習のあとは、カラーボールを使ったワークや、一分間スピーチ、そして最後は実際にチームで10分ほどの創作劇を作るワークまで、びっしりカリキュラムは続く(はじめに紹介されるのは3日間のカリキュラム)。
 でも、それぞれのワークについて「意義」「やり方」が詳細に書かれているし、3日も取れない場合はどうしたらいいか、などの案、「一分間スピーチ」やワークの応用版などについても親切に書かれている(たとえば「一分間スピーチ」の応用としては、自分のことではなく、人に簡単なインタビューをし、その人を紹介する形のスピーチをしてもらうとか、「もしあなたが社長だったら、1分間社員の前で何を言うか考えて、話して」というテーマを出すとか)。

 研修の講師に慣れた人なら、これを読むだけでも一部、自分の研修に取り入れられそうに思える。
(まぁ、やるからにはちゃんと「演劇の実演」からしっかりできたらいいと思うけれど)

 また、実際、研修に取り入れるかどうかはおいておいても、企業が必要としているコミュニケーション力とは何なのか、「演劇」を通して身に着けられる社会人に必須の能力というのは何なのか、など考えるのは、教育研修に携わる人にとって損はないだろう。
 ということで、企業研修の仕事をしている方には、広くお薦めの本でした!

2013年4月25日

新 雅史「商店街はなぜ滅びるのか」

商店街はなぜ滅びるのか 社会・政治・経済史から探る再生の道 (光文社新書)商店街はなぜ滅びるのか 社会・政治・経済史から探る再生の道 (光文社新書)
新 雅史

光文社 2012-05-17
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 以前、朝日新聞で商店街についての特集連載をしていたのだけれど、そのなかでこの筆者の新さんのコメントなどが紹介されており、気になって著作を手に取ってみた。

 一言でまとめると、タイトルの通り、商店街はどのように興り、どのように廃れていったのか、また商店街はそもそも今の時代に必要なのか、必要なのだったら、どうやったら良い形で商店街というものを維持できるのか、ということを探る内容。

 私自身は「都市デザイン」というものに以前から漠然とした興味があり、その延長線上でこの本も手に取ってみたのだけれど、読んでみたら、非常に「社労士」の仕事の範囲とリンクした部分が多く、とても興味深く読めた。

 この本は、副題にもあるように、「社会・政治・経済史」など、本当に幅広い知識を持った作者が、様々な角度から事象をとらえて書いているのだけれど、作者の知識と視野が広いので、偏った知識しかない私には、非常に「目からうろこ」の部分が多かった。

 まず初めに驚いたのは、1章の初めから出てくる「自営業の安定」という言葉。
「かつて存在していた日本社会の安定は、『日本型雇用慣行』(長期雇用、新卒一括採用、年功賃金など)に支えられた『雇用の安定』からのみ捉えられた。だが、こうした見方こそが大きな問題である。(略)戦後日本は、商店街の経営主をはじめとした、豊かな自営業によっても支えられていた。つまり、『自営業の安定』という、『雇用の安定』とは別の安定がしっかり存在していたのである」

 言われてみれば、もっともだけれど、若者の失業率が高いとか、若者の経済力が低下しているという話を聞いたとき、私は「非正規雇用」というものにだけ問題があるような気がしていたし、なぜ失業率が上がり、非正規雇用者の割合が増えるかは、機械化が進んだことや、海外の安い労働力の問題としか考えていなかった。
 でも、それだけではない、もっと根本的な原因があるのかもしれない。

 作者曰く、商店街というのは歴史が古いものだと考えられがちだけれど、実は、デパートというものに対抗するために零細小売店が集まったもので、歴史はそう古くないという。
 しかし、バブル期に地域にはスーパーが多く建つようになり、さらにバブルがはじけると買い手がつかなかった地域と地域の間にある大きな空き地にショッピングモールができ始め、商店街は衰退する。
 商店街がつぶれ、スーパーやショッピングモールにとってかわられることによって何が起こるか。
 雇用の面から考えると、「自営業者」が減り、アルバイト・パートという「非正規雇用者」が増える。

 また、1985年の年金改革で、社労士にはおなじみ「第3号被保険者」というものが生まれる。つまり、「サラリーマンや公務員の妻(年収130万円以下)は、年金保険料を払わなくても、将来、自営業者と同じだけの年金はもらえますよ」という制度。
 これによってますます社会は「サラリーマン+専業主婦」というものが理想的な家族の形という認識を強め、また、サラリーマンの妻が年収130万円以下の仕事を求めるため、スーパーやショッピングモールの時給はできるだけ低く抑えられていても、あまり不満は出てこない。そのうち、主婦ではない「フリーター」層の時給まで、そのレベルに抑えられることになる。そして「非正規雇用者」の経済状況はますます厳しくなる、というのが作者の見方だ。
 まさにそうだろう。でも言われてみてはじめて、色々な物事がリンクして動いていることに気づく。

 政府も非正規雇用の経験しかない若者を雇ったら企業に助成金を出す、という試みと同時に、若者の創業支援もしてはいるけれど、自分で起業したいと思う若者は年々減っているというデータもある。
 私自身も30歳くらいまでは、「自営業」という職業を正直身近に感じることはなかった気がする。でも、その選択肢の乏しさが、現代の問題なのではないかと筆者は言う。

 筆者自身は、商店街の酒屋の息子として育った、社会学者(学習院大学非常勤講師)なのだけれど、「商店街」というものを全面的に肯定しているわけではない。でも、3.11のあと、商店街には多くのボランティアが入り、4か月という短期間で復旧したが、少し離れた場所にあるイオンなどの入るショッピングセンターにはボランティアの姿はなく、復旧も遅れていた、という例を出し、やはり地域に根付いた店というものは必要なのではないかと説く。

 後半の「コンビニ」が商店街を内部から壊していくというくだりや、自分の「商店街の息子」時代を振り返る「あとがき」含め、非常に読みごたえのある本だった。
 かなりアカデミックな本なので、結構頭を使うのは確かだけれど、その分読み終わった時、ちょっと賢くなった気分になれる(笑)ので、お薦めです!
 特に社労士に読んでもらいたいな、と個人的には思います。

2013年2月25日

タル・ベン・シャハー「ハーバードの人生を変える授業」

ハーバードの人生を変える授業ハーバードの人生を変える授業
タル・ベン・シャハー 成瀬 まゆみ

大和書房 2010-11-18
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 小説のあいまに、こんな本も読んでみた。
 52章からなる、人生を変えるヒント集、みたいなもの。
 各章、3ページずつくらいなので、ひとつひとつを掘り下げているというよりは、こういう視点で人生を考え直してみると、今までとちょっと変わるかもしれませんよ、という「ヒント」が散りばめられている感じの本。
 結構「あ、それ他の本でも読んだ」ということが多かったけれど、でもそれぞれはやはり、色々なところで言われているだけあって、「確かに重要だよね」ということ。
 たとえば、「感謝する」から始まり、「運動をする」「失敗から学ぶ」......など。

 でも、52個を全部取り入れられるわけではないし、すでにそれはやっている、というのもあるけれど、52個のうちから、3つでも、5つでも、今の自分に必要だと思われる「変化」を選んで、日々の生活に取り入れていくのは悪くないと思った。
 私の場合はたとえば、毎日自分が何に何時間使っているかを書き留めて、次週の計画を立てる(もっとこれを増やして、これを減らそう、という)役に立てようとか、気持ちが落ち込んだときでもちょっと幸せになれる「ハピネスブースター」をリスト化してみよう、とか、習慣にしたいことをあらかじめスケジュールに組み込んで時間を確保するようにしようとか、考えてみた。
 ま、考えるだけではダメなので、次は行動を、ですが。

 ただこの52個のうちで一番私の心に残ったのは、
「誰にも知られることはない」という魔法にかかる、という話。
 いいことをしても、誰も褒めてくれない、感謝の言葉もかけてくれない。人と会って普通に話すことはできるけれど、みんな「普通の仕事をしているんだろう」と思うだけで、何をやっているか尋ねてくることもない。お金持ちになることもできるけれど、持っているものをすごいと言われることもない。
 そんな状況になったとき、あなたはどんな生活をしますか?
 という質問。
 この質問を考えることで、自分が本当にやりたいこと、人の評価のためではなく自分自身のために送りたいと思っている生活が見えてくる、と。
 もちろん、そんな状況になることはないから、それなりに社会に適応した生活はしないといけないわけだけれど、時々立ち止まって、この質問を自分に投げかけるのは大切なことなのかもしれない、と思った。

2013年2月 3日

「山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた」

山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた
山中 伸弥 緑 慎也

講談社 2012-10-11
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 小説ではないけれど......iPS細胞を開発し、ノーベル賞を受賞された山中信弥氏のインタビュー本を読んだ。
 色々なジャンルの本を読むと、刺激になっていい。

 この本を読んでようやく、iPS細胞はどうやってできたのか、ES細胞との関係は何かなどが分かった。
 一般的に言われている説明なのか、山中さんの作り出した説明なのかはわからないけれど、色々なところで、例えを使った説明があり、分かりやすくなっている。
 たとえば、皮膚の細胞をiPS細胞にすると、細胞が初期化されるというのだけれど、その初期化というのは何かと言うと、もともと皮膚の細胞であっても、「体全体の作り方が分かる本一冊の情報を持っていて、皮膚の細胞になっているというのは、皮膚の作り方の部分にしおりが挟まっているだけ」で、iPS細胞にするということは、「そのしおりをとって、ほかの器官にもなれる細胞にすること」らしい。
 ↑文系の私の要約なので、正確には本を読んでください!!

 また、iPS細胞によって、色々な臓器が作れるようになるということで、一般の人は、「移植するための臓器を作る」ということをまず真っ先に考えるけれど、もっと実用化が早いのは、iPS細胞を使ってさまざまな病気の臓器を作りだし、創薬の実験をすることだというのは、初耳で、勉強になった。

 科学的な話以外に心に残ったのは、アメリカの研究所にいたときに所長に言われたという「VW」の話。その所長は「大切なのはVWだ」と言うのだけれど、そのVWとは、「ビジョン」と「ハードワーク」だという話。
 日本人には「ハードワーク」をする人は多いけれど、ビジョンを持ってハードワークをしている人は少ない、という言葉は耳に痛いかもしれない。
 その点、山中さんはノーベル賞の受賞が決まっても「これを再生医療に一日も早く生かせるようにしたい。それまでは、まだまだ道半ば」というようなことをコメントしていたけれど、自分の研究が人に役立っている明確なビジョンが描けているのだろうな。
 今、自分が頑張っていることは、誰にどんな役に立つのか......?
 その問いにすぐに答えられないようなら、一度立ち止まって、自分の進むべき方向をもう一度考えたほうがいいのかもしれない。

2011年10月14日

香本裕世「人事が変われば、会社は変わる」

人事が変われば、会社は変わる 人事が変われば、会社は変わる
香本 裕世

日本経済新聞出版社 2007-03
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人材開発グループ長に、外部からスカウトされた矢澤久美子が着任した。
全社対象のキーパーソンインタビュー、管理職対象のキャリアマネジメント・ワークショップ、マネジメント勉強会と、次々に実施する新施策は、当初冷ややかに見ていた「制度づくり人事」の谷川人事部次長に刺激を与え、やがて現場の管理職のマネジメントスタイルにも変化が生まれる...。

というのがアマゾンに書かれていたあらすじ。
大企業の人事部の教育担当者は実際にどんなことをしているのかが分かり、大企業に勤めた経験のない私には、非常に勉強になった。
なかなか大企業相手に仕事をする機会は少ないけれど、大企業がどうやって「教育」を行っているかを知ることで、それをアレンジして中小企業に広めるのが、私たちの役目かもしれない。そう考えると、教育研修をしようと思っている社労士は読んで損をしない内容だと思う。

最後の方は、実際に管理職の研修や勉強会はこういうカリキュラムで、こんな内容で行うということが書かれていて、自分の研修の内容にもかなり取り入れられそうなところもある。


ただ個人的に心に一番残ったのは、「プランド・ハップンスタンス」という考え方。キャリアカウンセリングの理論らしい。

スタンフォード大学のクランボルツ教授が、数100人の成功したビジネスパーソンのキャリアを分析したところ、そのうちの8割が「いまある自分のキャリアは予期せぬ偶然に因るものだ」と答えたということをきっかけに構築された理論だということ。
直訳すると「計画された偶然」。

私は高校時代に宮本輝のエッセイで出会ってから、好きな言葉を聞かれると、小林秀雄の「命の力によって、偶然を必然と観じる」と答えているのだけれど、きっと同じようなことなのだろう。

クランボルツ教授の理論によると、つまり、予期せぬ偶然の出来事を、まるでもともと計画されていたかのような必然のこととして上手く人生に取り入れられた人が、良いキャリアを形成できるということなのだろう。

ちなみにこの理論によると、予期せぬ偶然を「プランド・ハップンスタンス」に変えるには、次の5つの力を磨くことが必要だと言われているらしい。

 ○好奇心(Curiosity):新しい学習機会を模索すること
 ○持続性(Persistence):失敗に屈せず努力をすること
 ○楽観性(Optimism):新しい機会が「必ず実現する」「可能となる」と捉えること
 ○柔軟性(Flexibility):信念、概念、態度、行動を変えること
 ○リスク・テイキング(Risk-taking):結果が不確実でも行動を起こすこと

自分のことを振り返ってみると、確かに今のキャリア(というほどのものを自分が築けているとも思えないけれど)は、上記5つに基づく選択の結果だった気もする。

 

「神話の力」でジョゼフ・キャンベルも似たようなことを書いていた。

『ある程度歳をとり人生を振り返ってみると、そこにはひとつの秩序があるように見える。
まるで誰かの手で構成されたかのようだ。
ただ偶然に起きたように見えた出来事も、実は次の展開のために重要な要素だったことがあとになって分かる。
この筋書きは一体誰が作ったのだろうか


思いがけないことも、思うようにいかないこともあるけれど、神様の与えてくれた「偶然」を信じて、そこに懸命に取り組んでいけば、道は開けるのかもしれない。
そういう考えは、気持ちを楽にしてくれて、いい。

2011年8月 7日

「旭山動物園のつくり方」原子禅

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 まだ予算がなかったときから、飼育員など動物園のスタッフがお金がなくてもできることを考え、深夜まで話し合い、「夢のスケッチ」を書いていったということで、初めに14枚のスケッチが紹介されている。
 それを見るだけで素敵だな、と思うのだけれど、次の章で、旭川市の市長が替わり、園長が新市長に動物園の改修に予算をもらうべく説得に通う場面がある。
 当時の園長自身もすごい人だったのだと思うけれど、きっとこういう「いざ」っていうときに、それまで実現は不可能だろうと想いながらも夢を持って描いていた「スケッチ」が役立ったんじゃないかな、と思え、それが良かった。

「人生をシンプルに変えよう」川田久里央

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 ブログが本になったものらしい。たまたまおととい、中村天風について調べていて行き当たったブログの内容が面白かったので本を買ってみたが、なかなか良かった。
 いらないものを捨てるとか、スピードを落とす(スローライフ)とかは聞き飽きた感があるけれど、そこにくくられない奥行きのある本だった。
 全体的に良かったけれど、一番おもしろかったのは、夢や目標が叶わないのは心のプログラムに「バグ」があるかもしれない、というところ。そしてバグを発見するための質問が3つ紹介されていた。
  質問1「私には、○○ができない。なぜなら私は......」
  質問2「実は○○が成功すると、都合の悪い部分もある。なぜなら......」
  質問3「今うまくいっていないこの状態を、実は、自分自身が望んでいる。なぜなら......」
 この3つの「......」を考えるというもの。
 そしてこの「バグ」は気づいた時点で、かなり修正される、とのこと。
 個人的にはなかなか腑に落ちる内容だった。

「相手に9割しゃべらせる質問術」おちまさと

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おち まさと

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「質問さえできれば、あなたが駆け出しであろうがシロウトだろうが、ビッグな人やその道のプロとも会話ができます。答えるのは、あなたじゃなく、相手なのだから」
 なるほど。
 でも、読んで分かったのは、やっぱ、場数だな、ってこと。本を1冊読んだだけで、良い質問ができるようにはならないだろう......。
 ただ最後にインタビューが上手くなるためのエクササイズがいくつか紹介されていた。
  ・「この人誰だったっけ?」というとき、どんな質問をしたら、相手に失礼にならずに、大きなヒントをもらえるか考える。
  ・もし会いたい人に会えたら何を聞くか、100の質問を考えて書き出す。
  ・3つの質問だけで、相手の仕事を当てる「職業当てゲーム」で、少ない質問で多くの情報を引き出す力を鍛える。
 「2」などはやってみてもおもしろそう。
 でも、コミュニケーションの基本は、やっぱり、「まず人を好きになる。興味を持つ」その一言に尽きるかも。

 

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