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2005年7月 6日

「ミステリーの書き方」アメリカ探偵作家クラブ著


ミステリーの書き方 (講談社文庫)ミステリーの書き方 (講談社文庫)
L. トリート

講談社 1998-07
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私はミステリーは書かないのだけれど、「先を読ませる」という点で一番勉強になるのはミステリーを読むことであり、ミステリーの構造を真似ることだと思っている。
ということで、この本は気になったので読んでみた。
第十章の「殺人その他の犯罪捜査」だけ、アメリカの警察の仕組みだとか指紋の取り方だとか、ミステリーにしか使わないよなぁ......という感じのものだったけれど、その他は、「結局読者を楽しませようという気持ちにおいては、ミステリーもその他のジャンルのものも大して変わらないよな」と思える内容になっていて、かなり刺激にも勉強にもなった。
HOWTOものを毛嫌いする人も多いとは思うけれど、こういう本は実用的な小手先の技術を身に付けるものではなく、書くということに対する姿勢を学ぶものだと割り切って読めばいいのではないかな。「ベストセラー小説の書き方」を読んだときも感じたけれど、やはり成功する人は努力している、そして、正しい努力の仕方を知っている......ということが分かる。

この本はアメリカで有名なミステリー作家に対するアンケートの結果をまとめた章と、各作家が三、四ページほどの長さずつで一つのテーマ(「ストーリー」「アウトライン」「プロット」「文体」「描写」など)を語る章で構成されている。
どちらもおもしろいけれど、「なぜ書くのか」「アイディアの見つけ方」「ミステリーの秘訣」について何十人もの作家の数行ずつのコメントを羅列している章が特におもしろいと思った。
「なぜ書くのか」には、同じ物書きとして頷けるところが多かったし、「ミステリーの秘訣」はミステリーに限らず、できるだけ苦しまずに書き続けるコツが、それぞれの作家の言葉で語られたりした。
私は最近、書くためにパソコンに向かうのが憂鬱に思えてしまうことがちょっと増えてきてしまったのだけれど(昔はただただ楽しかったのだけれど、良い物を書きたいという想いが強くなればなるほど、書くことに苦しむようになるのかもしれないと、この頃感じている)、それには「うまくいかないから書きやめるのではなく、次の数ページに何を書くのか分かっているから書きやめるのなら、再び机に向かう熱意もあろうというものである(ミリアム・リンチ)」「一つの章や節を終わりにしたところで、1日の仕事を終わらせてはならない。たとえわずかの一段落でも、ただちに次の部分を書き始めよ。そして文章の途中で書きやめるのである(エリザベス・オギルビー)」などのアドバイスが役立つ気がした。

他、それぞれのテーマを挙げる部分では、一番「削除」についてが心に残った。初心者は自分の書いた文章を勿体ないと思ってなかなか削れないけれど、削ることによって作品は見違えるほど良くなるということを覚えておかなくてはいけない、というような内容。耳が痛いです......。
それから気になった文章を抜くと......
「なによりも先ず、読者に登場人物の身の上を心配させなければならない」
「見せよ。語るな。見せるとはアクションのことであり、ものごとのかかわり合いのことである。語るとはアクションの準備または説明であり、本来、不必要なものなのである」
「(作品は手直しされて初めて完成するという話で)『完』(と小説を書き終えてタイプすること)とはスタートに過ぎないからである。このことを信じることができない、或いは信じようとしない作家は、残念ながら可能性は全くない作家であり、いずれ消え去る運命にあるのである」
「一冊の本を途中まで読んだら、私は自分なりに謎を解く。もしそれが間違っていれば、私は新しい解決法と、おそらく新しい犯人を知ることになる。これが新しいストーリーを作るに当たってプロット展開に利用できるのだ」
なるほど、ですね。
以前、日本の作家が、小説の帯や売り文句からどんな話なのか想像すると大抵、そのものとは全く違う小説ができあがるから、それが自分のオリジナルの作品になると言っていたけれど、それと似ているかもしれない。

と、長くなったけれど、色々な「なるほどなぁ~」が詰まっていてとっても密度の濃い本でした。ミステリーを書く気はなくても、文章を書く人なら読んで損はないです!

 

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