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2010年1月23日

「マンデラの名もなき看守」


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TSUTAYAで、「そういえばこの映画見たかったんだよな」と思って借りたのだけれど、見始めて数分で、「見たかったから見に行ったんだ」ということに気づいた(汗)

でも、非常に淡々とした静かな映画なのだけれど、しっかりとした物語の核というか流れがあり、思わず最後までまた見てしまった。

どんな話か簡単にいうと、マンデラ大統領が大統領になる前、南アフリカでは黒人と白人を差別するアパルトヘイトが行われていて、黒人は迫害され、マンデラもずっと刑務所に入れられていた(政治犯として)。

主人公は、黒人の使う言語が分かるということで、マンデラ付きの看守になる。

ただ次第に、「黒人はテロリスト。危険だから、塀の中に入れている」という自分たち白人の考えが本当に正しいのか、分からなくなってくる。

白人は、「黒人は、白人から国を奪おうとしている」と言うが、マンデラが訴えるのは、白人も黒人も平等に権利を持っているということ。

自分たちは、上の人たちの都合のいい思想をただ植えつけられて動いているだけなのではないかと思い、少しずつ、自分の頭で考え、行動するようになる......というような話。

爆破事件も、事故に見せかけた殺人も、なぜか非常に淡々と描かれ、話はただ続いていくけれど、淡々と語られるがゆえに逆にリアルに心に残ったりする。

感動して泣ける、というような感じの作品でもないけれど、最後は心の深いところがちょっとあったかくなるような、そんな映画だった。

2007年2月17日

「マリー・アントワネット」


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「マリー・アントワネット」は、あまり評判が良くないらしい。「見たよ」と言うと、いろんな人に、「でも、良くないんでしょ?」と返される。まだ私の感想、言ってないのに!
ということで、私自身は、結構いいと思う。
ただ、女性のための映画って感じかな。多くの男の人には多分良さは分からない。あと、映像の「芸術」を求めるより、ストーリーというか、キャラクターの作り方あたりに焦点を当てて見るべきかも。
私がこの映画をいいと思ったのは、「固定観念からこれくらい自由じゃないと」と、学ぶところがあったから。今まで抱いていた、「マリー・アントワネット」のイメージが、自分の中でかなり塗り替えられた。そして、あぁ、こういう状況だったら、確かにこういうふうに考え、こういうふうに行動するかも......いや、私だったらもっとダメになっていたかも、とか、自分のことに置き換えて、身に迫ったものとして感じられた。それがこの作品のうまさだと思った。
ただ、そんなふうに難しく考えなくても、ファッションはとてもおしゃれで豪華だし、おいしそうなスイーツだらけだし、乙女にはたまらない映像美かも。音楽もポップで、これもまた、既成概念を壊している。
リアリティを求める人にはかなり受け付けられない内容だろうけれど、史実に基づいていようが、芸術作品は作り手のもの、という独立した考え方ができればいいんじゃないかな。
というあたりが、私の正直な感想。

2006年2月16日

「ミュンヘン」


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1972年、ミュンヘンオリンピックで11人の選手が殺された。パレスチナのテロ組織の犯行だった。それに怒ったイスラエル政府は極秘に人を集め、そのテロ行為に関わった11人を殺すよう指示する。
主人公とその仲間五名は、ヨーロッパ中に散らばったその11人を探し求め、次々に殺害していく。


という、映画。

いやぁ......暗い。暗い。暗い。
そして長い。
3時間、あの世界はつらい......。人はどんどん血を流して倒れるし、爆弾で吹き飛ばされるし......。そして主人公は苦悩し続ける。
正直、見ていて疲労困憊した。

ただ、それが一番の印象なのだけれど、でも、いい映画ではあった。なんていうのだろう、「良質な作品」という感じ。
見ているあいだは、息苦しく、つらくても、心の中に消えない何かをしっかり刻みつけられる作品だと思う。死の表現にしても、単純ではない。派手なアクション映画とはまるで違う、リアルな肌触りと心の動きがある。......まぁ、だからこそ見ていてつらいというのもあるのだけれど。


何かを表現して人に伝えるというのはどういうことなのか、考えさせられた。
もっと見るものを飽きさせないようにする工夫はいくらでもできただろうと思う。同じ内容をもっとエンターテイメント性を持たせて描くこともできるはず。
でも中途半端にそういう方向に走らず、徹底的にこういう世界で描ききったというところに、この作品に価値はある気がした。
なんというのだろう、下手に人にこびない分、しっかり伝えられるものがある、という感じ。
あぁ、表現って小手先の技術ではないな、という気がした。とても。

そういう意味ではとても勉強になり、良かった。

あと内容に関して言えば、「あきらめること」も時には大切なのかもしれないということを感じた。前の書き込みとはまったく違う内容だけれど......。
宗教のせいといえばそれで片づけられてしまうけれど、結局イスラエルとパレスチナが一つの地理的にはさして豊かでもない地を求め、争ってしまうのは、その地こそが故郷だ、とりかえせねば、という長い年月をかけた「教育」の成果なのだろう。
外から見ると、その場所さえあきらめたらもっと他の幸せが手にはいるだろうに......と思ってしまうけれど、本人達は、それが手に入らなければ、生きていることになんの意味もないというくらい思い詰めてしまっている。
それが、言葉は悪いかもしれないけれど、かわいそうに思えた。

一人のイスラエル人が言う。故郷(home)は絶対に必要なのだと。
それと意図的にリンクされた言葉なのかは分からないけれど、最後の方で、一人の男が主人公に言う。美しいキッチンのショールームの前で。この任務を果たして、大金を手に入れられたら、こういう大きなキッチンも手にはいるよ。家(home?)を手に入れるにはお金がかかるのさ、と。
でもようやく家にたどり着いた男に妻が言う。ただ、この家のキッチンは少し広すぎるわ、と。

まぁ、そういう「純文学」的な作品だった。
つらいことはつらいけれど、見て損はないような気もする。という微妙な勧め方しかできないけれど、気力のあるときに是非、どうぞ(笑)

2005年7月21日

「モディリアーニ」


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ピカソと同時代の画家・モディリアーニの生涯を描いた映画。
 現実的には、私は芸術家タイプの男が嫌いなのだけれど、フィクションの世界では美術系の男の人に惹かれる。実在の画家をモデルにした映画が上映されると大抵気になって見に行ってしまうし、小説仲間にはしばしば「また芸術系の男が出てきたよ」とあきれられるほど、自分でも好んで画家とか彫刻家とかを描いてしまう。もしかしたら私は前世、モディリアーニのような画家に惚れ込んで振り回され、死んだ女なのかもしれない(笑) だから深層心理では惹かれているけれど、現実問題としては生活力のない男には惹かれない、みたいな......。
 って、何を語っているんだ、私(笑)

 映画は良かった。大きな夢がありながらも、それを叶えるための努力を積み重ねることが嫌いなこういうタイプ、芸術家には多いのかもしれないな、と思った。彼ほど才能がなくても商売が上手で成功する人もいれば、彼のように生活は破綻していても、見る人には分かる確かな才能があって、一目置かれる人もいる、なんかよく分かった。
 実際のモディリアーニがどんな人なのか、私にはさっぱり分からないけれど、映画のなかではとても魅力的に描かれていた。あぁ、こういう人だったら、「どうしようもないな、こいつ」と思いながらも、振り回されてしまう女もいるだろう、と。この映画の魅力は、やはり一番、モディリアーニの魅力だろう。でもそれ以外にも、映像の美しさや、その時代の雰囲気を上手く伝えるセットや、飽きさせないストーリーや、色々なプラスの要素があった。
 モディリアーニとピカソは映画のなかではライバル同士であり、憎み合っているように見えるけれど、実は分かり合っている関係に描かれていて、それにも惹かれた。ちょっと素直に向き合えないけれど、実は強い友情で結ばれているのではないかという気がした。ピカソの嫌な奴だけれど、とても憎めない。このキャラクターの作り方にも才能を感じた。
 あと話の中心はやはりモディリアーニの妻、ジャンヌの存在だろう。ネタバレになるので書かないけれど、ラストを見ると、こういう生き方は端から見たら不幸に見えるけれど、本人にとっては案外幸せなのかもしれない、なんて思った。愛し方も、生き方も、人それぞれで構わないんじゃないかと、ふと思った。

 この映画は上映されている館が限られているのもあり、日比谷シャンテはぎりぎりに行くとチケットが売り切れているという状態だったけれど、観て損はないものだと思う。私はおすすめ!

 

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