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2007年8月16日

「フリーダム・ライターズ」

昨日はお休みだったので、映画を見てきました。
「フリーダム・ライター」というアメリカ映画。

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様々な人種の、不良っぽい生徒が集まるクラスを担当することになった女性教師が、彼らの人生を大きく変えていくというストーリー。
「フリーダム・ライターズ」というタイトルは「フリーダム・ライダー」という人種差別と戦った市民権運動の名前をもじったものなのだけれど、彼らは、差別や偏見、今おかれている自分の状況から自分を変えるために、立ち上がっていく。
そこで核をなすのが、「書く」という行為。
書くことを通して、彼らは自分を見つめ、そして自分のことを世に訴える。
アメリカ映画的なできすぎた感もちょっとはあったけれど、でも、やっぱり、こういう話は好き。
「教育」と「書く」という行為の可能性について、改めて深く感じられた良い映画でした。

2006年10月26日

映画「博士の愛した数式」


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 小川さんの作品の映画化。
 小説もあたたかく愛に溢れた内容で良かったけれど、映画も負けていなかった。小説にはないエピソードを加えながらも、その世界を変えてはいず、むしろ補強していて好ましかった。

 小川さんがこの映画に対し、「全てのシーンが素数みたいな映画だった」というようなコメントをしていたけれど、なんだか分かった。すごく新しいという訳ではないのに、今まであったものとはどこか違うような感じがする。
 時々、原作の良さはどこにいったの? というような映画もあるけれど、小川さんはこういう才能のある人に映画にしてもらえて恵まれているなぁ。これを機に、もっと小川さんの作品を読む人が増えたらいい。まぁ、他の小川さんの作品はこんな愛に満ちてはいないけれど......(笑)
 この映画で、博士と家政婦、博士と家政婦の息子の関係も良かったけれど、家政婦とその息子の関係も良かった。こうやって子供を一人の独立した存在ととらえてしっかり向き合える人はいいなと思う。甘やかすのではなくて、しっかりと相手を認めること、これは大切。
 少し前、テレビで深津絵里がこの映画のことを語っていた。子供がいる役を初めてもらって、嬉しかった、いままで頑張ってきたご褒美のようだったと言っていて、その言葉も良かった。普通であることを大切にしてきたとインタビューでも言っていたけれど、自然体の軽やかな美しさが魅力的な人だな。
 あと、息子役も、博士役もよかった。
 博士と義姉の関係は小説よりもっとはっきりと描かれていたけれど、でもどこか描ききっていないところもあって、それも良かった。
 ただ一つ、ルート(息子)が大きくなったという設定で、吉岡秀隆が出てきていたけれど、その「成長したルート」を出したのは成功だったのかどうかはよく分からなかった。上手く使えているところもあれば、吉岡君の場面になることで、流れが止められてしまうところもあったので。
 あえて言えばそれくらいかな。
 とにかく全体的に良くできた映画だった。淡々としているけれど、心の奥に伝わってきて染みるものがあった。良質の作品、って感じ。お勧めです!

2006年4月 5日

「ブロークバックマウンテン」


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1月くらい前から見たいと思っていた「ブロークバックマウンテン」をようやく見に行けました。
ただ、期待が大きかったからか、「う~ん」というのが感想。
悪くはないけれど、特に際だって良くもなく、う~ん、です。
確かに山のそびえ立つ背景や、山並みに沿ってものすごい数の羊が移動するシーンなどは美しいのだけれど、やぱり、ストーリーや人物の感情に寄り添えないと、その美しさもいまいち心に迫ってこない。
特に、明らかに画面を美しく切り取るためにこういう設定にしただろう、というような作為もところどころで感じられ、それは興ざめだった。ストーリーより描写の美しさだ!とか言っている私だけれど、こういうところは許せないなぁ。

ただ内容に入り込めなかったのは、好みの問題かもしれない。別に私は同性愛を否定する気とかはないけれど、そういう人の感情は想像しようとしても想像できないので、やはり登場人物との間に心の距離ができてしまったのかも。
あと一番の問題は、ストーリーの進行が早すぎて、感情をつかみきれなかったこと、だと個人的には思った。

いいところもあるのに勿体ない......というのが私の感想です。
アカデミー賞の作品賞を逃したとき、メディアは、監督がアジアの人だったからではとか、ゲイを扱ったものだったからでは、とか言っていたけれど、純粋に「クラッシュ」の方が優れた作品だったからだと思った。
もちろん、個人的な意見ですが。

2005年10月30日

「春の雪」


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公開二日後に見に行くなんて滅多にないのだけれど(大抵は、空いてから行こう......と思ってしまう)、今回は相当気になっていたので、いってきました。なぜ気になっていたのかというと、以前からこのサイトに来てくれている人はご存じの通り、三島由紀夫「豊饒の海(一) 春の海」こそ、私の一番愛する小説だから! 別に妻夫木くんのファンだから、などではありません(笑)

ということで、多分、見に行っても不満を感じるだけだろうな、なんて思っていたのだけれど、予想に反して良かった!
あぁ、ここまできちんと映画化できるんだ、というくらい、要所をきちんと押さえ、かつ無駄のない形に仕上がっていた。もちろん、映画では三島の文体の美しさなどは表現できないけれど、その代わりに、映像でしか見せられないようなまた別の美しさを描き出していて、それが成功していた。

正直、三島の文体は、文学に慣れ親しんでいない人には読みづらいものだから、三島の世界の美しさを知る第一歩としては、この映画は薦められると思う。
文体、風景描写などの美しさは、小説と映画ではやはり違うけれど(でも、かなり忠実に再現されていたな。特に初めの松枝家の庭などはイメージ通りで嬉しかった)、ああいう恋愛、ああいう人生の貫きかたを三島は「美」としたのだということが伝われば、結構いいのではないだろうか。
短くまとめると、この映画を作った人は(監督なのか、映像担当者なのか、脚本家なのか分からないけれど)、本当にこの作品が好きで、だから映画にしたんだな、ということが伝わってきて、だから良かった。安易な気持ち(話題作りみたいな)ではなくて、もっと心をあの作品に「捕らえられている」んだなという気がした。
まぁ、一つ気に入らないのは、主題歌かな。宇多田ヒカルを嫌いなわけじゃないけれど、もうちょっと和のテイストのものにして欲しかった。横文字で歌われると、気分がそがれた。......って年寄りっぽい感想だろうか......。

ただ最近、「春の雪」を読み返していなかったのだけれど、久しぶりに松枝清顕の生き方に触れて、自分の心が以前より大人になっているのだということを感じたりした。
以前はもっと、こういうひねくれた恋愛しかできない清顕に自分を重ねているところがあったけれど、今は、「そういうのは若さだよ」なんて思ったりする。もちろん、反対されればされるだけ、障害があればあるだけ恋心は燃え上がるというのは、心理学的な真実だとは思うけれどね。
ま、清顕は20歳前後だから、30にしてそこを超えられるっていうのは遅いのかもしれないけれど......、でも「春の雪」を卒業すると、四部作の他の作品も好きになれるのかな。
今回の映画でも本多は良いキャラクターだった。役者もぼくとつとしていて良かった。ただ、「また会う。滝の下で」って言われても、二作目以降を読まないと、意味が分からないのではないかな......これはこれでいいのだろうか。「奔馬」も映画にしようともくろんでいるのだろうか。など、色々考えてしまった(笑)
いつも読み返すのは「春の雪」だけだったのだけれど、「奔馬」も久しぶりに読んでみたくなった。

妻夫木くん、竹内結子は、まぁそんなに悪くない。でも、もっと合う人もいたかも......くらい。妻夫木君はそれでもなかなか好演していたけれど、竹内結子は、無難に演じたというだけの気がした。もっとはっと心に響いてくるなにかがあればもっと「聡子」になったかも。......言いたいこと言ってるけど(^^;)

でも、是非、この映画は見に行ってください。特に、三島由紀夫を読んだことのないひとには見てもらいたいな。

原作も本当に傑作です!

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2005年10月 3日

「八月のクリスマス」


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 山崎まさよし主演映画、観てきました。
 知っている人は知っていると思いますが、私はまさやんファンです。9月24日は、雨でずぶぬれになりながらも雨合羽姿で数時間立った姿で、ライブを聴いていました(横浜の赤レンガ倉庫のところで野外ライブがあったのです。デビュー10周年イブということもあってか、2万人ほどの人が集まり、なんだかとても感動的な場と空気でした。ミュージシャンというのは、曲だけではなく、ああいう場を提供できる人のことを言うのだなと思った時間でした)。

 と、まぁ、ファンだと断った上で書きますが、正直、この映画はいかがなものか......というのが素直な感想。
 きつい言い方をすると、「予告編の方が伝わってくる」という感じ。もしくは映画を見る前にまさやんの作った主題歌を聴いて、想像していた世界の方が美しかったというか。この映画を見てまず思ったのは、元になった韓国の映画を見たいということだった。多分、韓国の映画の方がよくできているのだろう(まぁ、実際に見る前に言うのはなんですが)。


 多分、監督がいけない。もしくは脚本家。説明しなくてはいけない部分を省きすぎ、ない方がいい台詞を入れすぎている。字余りと字足らずの句ばかりが並んでいる感じ。「このときどういう気持ちでそういう行動に出たの?」「この人は何をどこまで知っているの?」という基本的な情報が伝わってこないから、感情移入するまえに、それよりずっと手前で立ち止まってしまう。
 あとはつっこみどころが多すぎる。そりゃないだろう、と思うことが多すぎて疲れた。
 テーマというか視点はいいのに、なぜそれを生かし切れないのだというもどかしさ。

 あと、これを言うと、もっと過激なまさやんファンには怒られるかもしれないけれど、やはり彼はミュージシャンであって、役者ではないです。
「月とキャベツ」は結構良かったのだけれど、それはきっと、あの中の人物がまさやん本人に近く、演じるというより生き様を上手く表せばよい類の「役」だったからだろう。こういう、「余命幾ばくもない人」というのは、役者にだって演じるのが難しい(しかも、こうやって淡々としたドラマでは、ストーリーよりシーンの雰囲気や演技でひっぱっていかないといけない)のだから、きちんとした役者を使うべきではないかという気がした。
 表現というのは本当に奥の深い世界だから、それをなめてはいけない。
 ただ、その厳しさを表現者のまさやんが知らないわけはなく、なんとなく、「10周年だ」という流れに逆らえず、押し流されてしまっているのではないかという気がしてしまった。
 まさやん自身はインタビューでいつも、「僕は役者じゃないから」と繰り返していたしね(でも、役者をするのもまんざらでもないという感じだけれど)。
 私はやはり、この映画は、韓流ブームや、まさやんの人気に便乗して動員数を稼げばいいという安易な考えで作られたものに思え、ちょっと残念だった。

 このあいだ雑誌のインタビューでまさやんが「いいものは時間をかけなければ絶対に作れない」と語っていて、ものすごく心に響いたけれど、最近まさやんはテレビや雑誌やイベントに本当によく登場するし、本人も「忙しい」とコメントをしていたから、ファンとしてはやはり少しばかり心配。まぁしばしばまさやんの姿を見られれば嬉しいけれど、それ以上に自分が納得いくまで時間をかけて作った音楽を聴かせて欲しいな~、などと思う。

 でもこの映画の「失敗」の仕方と、「時間をかけて作る」という言葉を考えたとき、アマチュアとプロの作家の差も、そういう「あと一歩」であったり、ちょっとした「字余りと字足らず」を生み出してしまう甘さにあったりするのだろうなと、勉強になった。

 

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