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2010年4月11日

DVD「ココ・アヴァン・シャネル」

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「アメリ」の女優さんがシャネルを演じた映画をDVDで見た。
最近ようやく家も地デジ対応の液晶テレビになったのですが、今までテレビなど見られればいいと思っていたけれど、DVDを見るときはやはり、新しくなって良かった、と思う。
フランス映画らしく、かなり映像に気を使った美しい映画だということが、それで分かったので。

恋愛映画としてはおもしろい。飽きずに見られるし、上にも書いたように、映像もきれい。
シャネルの時代の風習や貴族的な生活も垣間見られて、なかなか心地よい作品だった。

ただ、この映画の核はなんだろう?
シャネルの映画というので、孤児から自力でトップデザイナーに上り詰めるまでを描いた作品かと思ったが、「自力で這い上がる」というより、ただたまたま知り合った貴族の世話になり、いいように利用したり、普通の女性らしく恋愛も楽しんでいる、というようにしか見えなかった。
それが非常に残念。

別に、シャネルの話であったって、「知られていない女性としての一面を描いた」ということで、描ききって、宣伝もそうやってもいいと思うのだけれど、中途半端に決められていないところが、評価を下げる一因だろう。
最後、唐突にデザイナーとして成功しちゃっているのも、うむ......だった。

やはり、エンターテイメントであろうと、芸術作品であろうと、表現するからにはなにかしら人に伝えようと思って作品をつくっているわけで、伝えようと思うなら、「何」を伝えたいのか考え、それを伝えるためにはどういう構成が必要なのか考えるのが大切だな、ということを改めて思った。

ただ、そんな変な「作り手」の批評の目を持たず、純粋におしゃれな映画を楽しみたい、ということなら、問題なく薦められる作品でもあった。
決してつまらなくもないし、駄作でもない。
ただ本当に、軸がぶれただけだ。

2009年3月13日

「薬指の標本」DVD

小川洋子さんの同名の小説を映画化した「薬指の標本」を見た。
この映画、邦画ではなく、フランス映画!
でも、日本とも海外ともどこともとれない場所が舞台の小川作品だから、まったく違和感はない。
......いや、むしろ、フランス映画であって良かった、と思う。

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小川さんは、「博士の愛した数式」で本屋大賞を獲り、映画化もされたので、それが「代表作」のように思われているけれど、以前からの小川ファンとしては、それは違うだろう、という気がする。「博士の愛した数式」は、小川さんにしては「珍しい」タイプの作品だ。
もちろん、「博士の愛した数式」も、すばらしいのだけれど、多分、根っからの小川ファンは、「薬指の標本」のほうを好んで読み、「やっぱ、こういうテイストよね」と、この映画に満足すると思う。

一般の人には、純文学=私小説のように捕らえられがちで、自分の悩みを滔々と語るのが小説だみたいに思われている気もするけれど、私が思う、小説らしい小説は、やっぱりこういう、小川作品だな、と、映画を見て、改めて思った。
どんな作品だ、と聞かれても困るけれど、描写ありきで、ストーリーはただそのシーンを生かすための小道具でしかない、みたいな「芸術作品」かな。
この映画も、非常に「純文学」っぽい。

分からない人にはわからないだろうけれど、分かる人は、はまる。
だからこそ、アマゾンでも星5つなんだろう。
多分、星1つしかつけないであろうような人は、そもそもこのDVDを手に取ろうともしないはず。

やっぱり、文学は、美の追求だ。文学も「芸術」だ。
などと、忘れていた「原点」に久しぶりに回帰した感じ。

ストーリーを軽視するわけではないけれど、ストーリーは自分にとって、メインではない。
ストーリーによって描かれる世界や、人の心理こそが「主役」。
先を読ませる牽引力は大切だけれど、ストーリーを前面には押し出さない。
日常をつかのま忘れさせる美を表現できてこそ、文学。

エンタメを目指しつつも、なにかすごい違和感をときどき感じ、行き詰っていたけれど、なんか、この作品を見て、ふっと、「無理はやめよう」と思った。
私はやっぱり、こういう世界が好きだ!

小川さんの原作。

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2008年7月21日

「ぐるりのこと」


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橋口亮輔監督の6年ぶりの新作。
そのあいだ、鬱にかかっていたり、色々大変だったようだけれど、 そういうのを乗り越えてきたからこそ見えてきたものを描ききった のだろうな、という傑作だった。

生まれたばかりの子供を失った女性の、心の痛みが中心なのだけれ ど、夫婦の絆によって「再生」していく物語。

夫役のリリー・フランキーさんが良かった。

やっぱり最後に支えとなるのは、「家族」なのだな、という気がし た。
ただ、支えてくれる人がいるということともう一つ大切なのは、 本当につらいとき、つらいと外にアピールすることなのかもしれない。

派手さはないけれど、心に迫ってきて、心の奥に眠らせていた痛みを じわっと昇華させてくれるような映画だった。
最後にはあたたかい気持ちになれるいい映画だった。

前の橋口監督の作品は、繊細で勢いがあるけれど、どこかばらばら な感じがあった。
でも、今回は、すごく完成されている世界だった。
作り物くささがなくて、あぁ、分かる、って。
だから心が少し痛くもなるけれど、痛みを感じるからこそ、救いも 感じられる。

今回は、様々な裁判のシーンを挿入することで、時代を映しだした り、他の人の心の動きを取り込んだり、そういう「工夫」もされて いたけれど、奇をてらわず、まっすぐ、テーマに向き合っている 作品、という感じがした。

2006年3月 9日

「クラッシュ」


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 アカデミー賞の主要三部門受賞ということで、ついつい見に行ってしまった。どちらかというと「ブロークバック・マウンテン」の方に惹かれていたのだけれど、まだ渋谷の一館でしかやっていないみたいなので、数週間待ってみます。

 感想は、なかなかバランス感覚に優れているなぁ、という一言かな。重いテーマを扱っているのに、見終わった感じも爽やかだし、かといってすべてを無理矢理ハッピーエンドにしてしまわないリアルさが残り、拍手!だった。
 テーマは人種差別についてで、アメリカ社会で、黒人やアジアの様々な人が白人から迫害を受け、つらい思いをしているというような内容(その一方で、黒人は白人に復讐をくわだたてり、もっと弱い人種を痛めつけようとしたりするのだけれど)。それを複数の人物の視点から描いている。一言で黒人といっても、そのために社会からドロップアウトしてしまったような人もいれば、白人と対等にキャリアを築いている人もいる。外国人を差別する白人がいると思えば、もっと広い心で接する白人もいる。
 初めはちょっと差別の描き方が、やりすぎでは......とも感じたけれど、それは日本に住む日本人だから思うことかもしれない。それがやりすぎかどうかはアメリカに住まないと多分分からない。
 それ以外では、誰に肩入れしすぎることもなく、ただ人種にかかわらずみんないいところも悪いところもある「人間」なのだという視点がしっかりとあり、好感が持てた。重いテーマなのに、暗くなりすぎない描き方は上手いなぁと思ったし、やはりラストが私は良かったと思う。
 様々な視点人物すべてがいっぺんにハッピーになってしまったら、それはいかにも作り物なのだけれど、良いことも起これば悪いことも起こる。状況が変わらない人もいる。それをしっかり見せながら、それでも見る人を爽やかで救われた感じに持って行けるというのは才能だ。才能と言うより、バランス感覚、センス、という感じかもしれないけれど。初めは良い:1 悪い:9 くらいだったものが、ラストは良い 5.5 悪い 4.5くらいの比率になり、それで救われた感じがする。でも、問題はまだ残っている。本当、この終わらせ方は勉強になった気がする。結局日本の安易なエンタメみたいなまとめかたをしちゃうと、すがすがしさは残るけれど、「あぁ、おもしろかったね」で、心になにも残らなくなってしまう。でも逆に「ミュンヘン」みたいにすると(よほど強烈なインパクトはあったらしい......最近しばしば「ミュンヘン」と色々な作品の読後感?を比べてしまう(笑))、テーマは心に刻まれるけれど、気分が暗くなりすぎる。......そのバランスが大切だとこの頃、けっこう考える。

 BBSには書いたのだけれど、最近、地方の賞の最終で落ちた。でもそのときの選考委員の藤沢周さんの言葉が良かった。
「最終候補に残った作品はいずれも文章が達者であったが、人生の内実に筆致が迫り始めるというとき、簡単に登場人物を救って、物語をまとめる傾向が散見された。これでは現実をナメているといわれてもいわても仕方ない。そして、小説をナメているとも。まずは残酷なほどクールに自己を見つめるという視線が必要であると思う。またそれこそがリアルというもの謂いである」
うわぁ、分かる!って気がした。
最近の私のテーマは、この「ラストのバランス」。
そういう意味では、とても勉強になる映画でした。

......という個人的なことを置いておいても、やはりアカデミー賞とるだけあるな、という作品だった。
ただ残念だったのは、あまりにもバランスが上手くできすぎていて、やはりインパクトにはちょっと欠けたかな、というあたりかな。


 でもアメリカ社会も大変だなぁ。ああいう状況でだったら、人を疑って生きるしかないような気がする。最近の日本もちょっとずつそうなっていてそれは悲しい。
 新聞におじいさんが投稿していた。子供が落とし物をしたから声をかけたら逃げられた、と。
 人を疑えと子供に教育しないといけない社会って、本当に悲しいと思う。

2006年2月27日

「県庁の星」


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最近けっこうミーハーな映画を見ているなぁ。
 感想は、まぁ無難におもしろい、って感じかな。テーマはとてもよく分かるし、そこそこ楽しめる。ただエンターテイメントにするには、あそこまで分かりやすくしないといけないんだろうか......という感じがした。
 初めの方はいいんだけれど、一つのことをきっかけに、物事がどんどん良い方向に進み、ハッピーエンドに向けて加速する。そういう分かりやすいハッピーエンドは見ていて気持ちよくはあるし、休日の娯楽としてはこれくらいがちょうどいいって感じもあるのだけれど......でももうちょっと気恥ずかしくならないようにできないものなのかなぁ、とひねくれて考えてしまった。
 ただそれ以外の細かい設定などには、あぁありそう、というふうに思わせるリアリティはあった。公務員は楽でいいよなぁ、税金使ってさ~、とかよく言われるけれど、言われる公務員も大変なんだろうなぁ、と同情してしまった。知り合いの公務員を見ていても大変そうだっていうのもあるんだけれど。
 スーパーも、実際のスーパーが閉店してからそこを借りて撮影したということで、スーパーの冷蔵庫は閉店後はあんなふうにビニールのシートをかけるんだぁ、ということなど、細部に感心した(感心したというより、トリビア的、「へぇ」って感じかな)。
 ってことで、一人でじっくり腰を据えて見るものでもない気はするけれど、予定のない休日、仲の良い友人や家族や恋人とポップコーンでもばりばり食べながら?見るにはちょうどいいかも。おもしろくはあるよ。

2005年8月 4日

「皇帝ペンギン」


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気になっていた映画、見てきました。
夏に上映して正解。冬じゃ、凍え死にそうな気分になっちゃう......って感じの映画でした(笑)
とにかく白い氷と雪に覆われた世界と、数え切れないペンギンだけの出てくる映画。
でも退屈はしない。

ペンギンが人間と同じ思考を持っているはずはないのだけれど、一生懸命に歩いたり、寒さを乗り越えようとしているペンギンを励ます気持ちになったり、苦労して育てた子供を寒さや飢えでなくしたペンギンに悲しみを覚えたり、結構「ペンギン」とはいえども共感できるように作られていて、飽きなかった。
実は「ディープ・ブルー」のときは綺麗ですごいなぁと思いながらも3分の1くらいは眠りの世界にいたので、それと並び評される「皇帝ペンギン」もちょっと心配だったのだけれど、杞憂に終わりました。

この映画を見て、もちろん、生命の尊さや力強さは感じた。自然の美しさや厳しさも。ただ一番感じたのは、「ペンギンって大変なんだな~。ペンギンじゃなくて良かったな」という子供みたいな感想......(^^;)
あと次に感じたのは、「結局動物が生きるのは、子孫を残すというそれだけのためなんだな~」ということ。
卵をあたためるために、凍りつきそうになりながらも4ヶ月何も食べずに立ちつくしているオス。孵った雛に餌を与えるために、氷の道を20日間かけて歩いてもどるメス。もしペンギンに人間のような思考能力があったら、「俺って何のために生きているんだろう。こんな人生つまらない」と身を投げてしまいそうなのに、当たり前だけれどペンギンはそんなことはしない。......当たり前なんだけれど、なんかそれってすごいなと思い、自我のある人間が幸せなような、でも実は考えすぎるがためにとても不幸のような、複雑な気持ちを抱いた。

あと私が見たのは日本語吹き替え版だったのだけれど、お父さん→大沢たかお、お母さん→石田ひかり、子供→神木隆之介と、声がなかなか素敵だった。普段映画館で吹き替え版をみることは滅多にないけれど、どうせペンギンがしゃべっているわけじゃないので、「口の動きとあっていない」と思うでもないし、結構吹き替え版、良かったかも。
日本語で話されるとより一層ペンギンに親近感が湧く。神木くん、声だけでもかわいい~。

過酷な状況で命を奪われるシーンや、悲しい場面も結構あったけれど、それでも心は温まる映画だった。機会があったらもう一回見てもいいというくらい。基本的にペンギンが好きなので。どうやら私はペンギンに似ているらしいし......。
ということで、おすすめの映画です!

 

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