凪~小説・写真サイト~                    
  作品   レビュー   写真   日記   プロフィール
                     


2009年10月23日

雫井脩介「虚貌」


虚貌〈上〉 (幻冬舎文庫)虚貌〈上〉 (幻冬舎文庫)

幻冬舎 2003-04
売り上げランキング : 92471
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 犯人は誰か、とか、どういうトリックを使ったのか、というところに重きを置いて読むと「あれ?」という感じがしてしまうけれど、ミステリーだと思わず、エンターテイメントの要素もある純文学として読むと非常に上手く、深い作品だと思う。

 タイトルの通り「貌」って何かと突き詰めていった作品だと考えると、様々な視点からの考察があり非常に興味深い。

 やはり雫井さんは人の描写も上手いし、人の暗い面も含めて非常によく描き出していると思う。
 フィクションを支えるのは結局のところ、人物の"リアリティ"だということを感じる。雫井さんはそういった意味で、本当によく人を観察している。
 あぁ、こういう人、いそうだよね、とすべての人物に対して思える。

 ただ、最後はこれでいいのだろうか、という気もして、手放しで推せない気もするけれど、重みのある一冊を読んだという充実感はあった。

 改めて、ミステリーってなんだろう、と考えるうえでも、勉強になる作品だった。

2008年11月18日

雫井脩介「クローズド・ノート」


クローズド・ノート (角川文庫)クローズド・ノート (角川文庫)

角川グループパブリッシング 2008-06-25
売り上げランキング : 42890
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

映画化もされた「クローズド・ノート」読みました。

映画も気になっていたのだけれど、見られず、そのままになって いたのだけれど、雫井さんの「火の粉」を少し前に読んで、 その上手さに舌を巻き、「クローズド・ノート」もこの人の 作品なのね、と気づき、購入。

「火の粉」は上手いけれど、ちょっとホラー的で、人の嫌な面を 徹底的に書ききって、だからこそ、リアリティがあるという感じ の作品なのだけれど、「クローズド・ノート」はまったく違った テイストで、あったかい気持ちになれ、とっても良かった。
女性的な文章だし(火の粉のときも感じたけれど、女性の視点で 書くのが上手い!)、女性にお勧めの本かな。
名前から見るに、男の人っぽいけれど、本当に男の人だよね??

恋愛のくだりもいいけれど、主人公のひとり(という説明でいい のか?)は、小学校の先生で、子供たちとのふれあいのなかから 感じたことを、日記に書き記している。
その文章が、「あぁ、やっぱり、こういう人こそ、先生にふさわ しい」と思える、あったかい視点と想いにあふれていて、とても 良かった。
ただでさえ、そういうのは、郷愁を誘って、悲しい話でなくても 泣けてしまうのに(やっぱ、塾の先生時代は楽しかったな)、 こんな、ストーリーの力まで加わったらなおさらだ。

こんな、まったく違った顔を持った作品を、しかも両方とも非常に 高い質で書き出している雫井さん。
気になる作家の一人に登録完了! です。

 

Top ・ Works ・ Photos ・ Diary ・ Profile