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2006年12月12日

瀬尾まいこ「強運の持ち主」


強運の持ち主強運の持ち主
瀬尾 まいこ

文芸春秋 2006-05
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瀬尾さんの小説はいつもほんのりと温かくて読みやすく、やっぱりいいなぁと思う。
かもしだす雰囲気はどの小説も同じなのだけれど、人物の作り方や設定や話の流れにオリジナリティがあるから、読んでいて飽きない。
この本は4つの短編からなっているけれど、4つともちょっといんちきくさい「占い師」である女性が主人公で、相談しに来るお客さんの問題を解決していくという連作。
毎回「きっと何かあるぞ」ということは分かるのだけれど、「多分、こうなんでしょ?」と想像したを上手く裏切ってくれるというか、「え? そんなにずれてたの?」みたいに、凡人の想像の上を行ってくれるのがいい。特に一番初めの作品が突拍子もなくておもしろかった。
後半はそれに比べると「あぁ」というようなところもあるけれど、3話目の「おしまい予言」などもなんとなく気持ちが分かって良かった。主人公もいいけれど、その「彼」がとてもいい味を出している。微妙にうちの旦那さんと重なる(笑)

最近、自分自身の試みとして、緩い連作をしている。一つの話に「助演」くらいの感じで出てきた人を、次の作品の主役(=視点人物)にするとか、その逆とか。一度作り上げた人間には愛着があるし、そこそこキャラクターが固まっているから使いやすく、意外とおもしろい。
でも、いずれはこの作品みたいに完全な連作もやってみたいな、などと思っている。純文学だとエンタメよりは難しいけれどね。(でも、最近そういう短編集は増えているし、多分、売れているのだと思う)

ということで、ちょっと脱線したけれど、ほのぼのした気分になりたいときにお勧めの本でした。

2006年10月 5日

瀬尾まいこ「温室デイズ」


温室デイズ温室デイズ
瀬尾 まいこ

角川書店 2006-07
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久しぶりに瀬尾さんの本を読んだ。最近、以前よりハイペースで本を出している気もするけれど。
瀬尾さんの本にしては、ちょっと「痛さ」が多かったかな。いつも大体、主人公はハッピーな境遇ではないのだけれど、それをアンハッピーとも思わず、強く生きている感じがする。それに対してこれは、主人公自身が、かなり痛みを感じてしまっているので、その分、少し重く感じられた。
特に、瀬尾さんが学校の先生をしていると知っているから、あぁ、本当にこういうこと感じているのだろうな、なんて、同じ教育者?としていろいろ考えてしまうところもあり。

ただ、ラストはやはり期待を裏切らず、希望を感じさせるものになっている。やっぱり小説って、最後の「光」みたいなものは大切だと思う。安易に主人公たちを救わない方が、「文学」っぽくて、ある意味完成度が高くまとめやすいのだけれど(特に純文学の場合?)、読者としては希望のあるラストを求めるよな。
瀬尾さんや宮本輝の小説が売れるのは、そういう安心感があるからだと思う。

そして瀬尾さんの作品のいいところは、「行動」が物事を変えるということを示しているところ。考え方が変わることで救われることもあるけれど、でも、大切なのは「行動」だと、最近思うな。
主人公やその友人の、思いがけない「解決のための行動」がいい。

ただ、瀬尾さんの本を読んでいない人には、「優しい音楽」とか「卵の尾」とか「図書館の神様」の方を勧めたいな。
ちょっと元気をもらいたいとき、おすすめの作家です!

 

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