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2006年11月 8日

野中柊「小春日和」


小春日和小春日和
野中 柊

集英社 2006-03-17
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野中さんの本は久しぶり。一番初めに読んだ「草原の輝き」は結構痛さや切なさを感じ、そのとぎすまされた感じが好きだったのだけれど、それ以降、もっと「ほわん」としたあたたかい小説を書くようになっている気がする。
今回の本も、タップダンスにはまる小学生の双子の姉妹の話で、すごい劇的な起伏があるというより、日常を柔らかい文章で書きつづっている感じ。
最近、「ストーリーで楽しませたい」「キャラクターを見せたい」「テーマを伝えたい」とか、分かりやすい本を読むことが多かったので、「あれ? 文学って何をする物何だったっけ?」などと、この本を読んでいてちょっと考えてしまった。でもきっと、「読んでいるときの心地よい感覚を読者に与えたい」とか、そんな感じのことを野中さんは思って書いているんだろうな、という気がした。
わくわくどきどき先が気になる、という本ではないけれど、ちょっと日常がハードで、心を休めたいなぁ、というときに、たとえばお風呂にもっていって、良い香りのするバスオイルかなにかを入れ、半身浴をしながら読むっていうのもいいのでは、というような感じだった。


 

2005年9月11日

野中柊「ひな菊とペパーミント」


ひな菊とペパーミントひな菊とペパーミント

講談社 2005-06-21
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久しぶりに柊さんの小説を読んだ。私は柊さんの本の中では「テレフォン・セラピー」というエッセイが好きなのだけれど、そのエッセイの柔らかい空気をそのまま物語にしたみたいな、心地よく善意に満ちた話で良かった。
あまり作品と作家の人生を関係づけてみない方がいいのかもしれないけれど、「テレフォン・セラピー」の前に柊さんは離婚したところだったみたいで、エッセイの中には、世の中にはどうやっても上手くいかないこともあるけれど、それでもなるようになるのだから、力を抜いて頑張りすぎずに生きていこうというメッセージが詰まっていた。この小説も、そんな優しい雰囲気。
結構若い頃に書いたらしい「草原の輝き」という小説も好きなのだけれど、あの作品にはもっと研ぎ澄まされた感性があった分、読む側もちょっと痛かった。悪意があるというのではないのだけれど、人が人を傷つけてしまう不可抗力みたいな物を感じて。
それよりは今回の小説の方が安心して心地よく読めるかな。
離婚とか分かりやすい形ではなくても、誰でもきっと大人になる過程や、大人になってから、様々なつらいことを経験する。そのなかでたくましさと同時に得られる優しさみたいなものを、30~40歳くらいの女性の作家からよく感じる。
ばななさんとか、瀬尾まいこさんとかと、似た雰囲気。まぁちょっとおおざっぱすぎるまとめ方かもしれないけれど。
この小説の主人公は中学1年生なのだけれど、それくらいの子供の視点で温かい作品を書くには、作家は主人公の倍以上の年齢になっていないとダメなのかも知れない、そんなことをちょっと思った。
私も時々小説仲間に、20歳前後で書いた作品の痛いほどの世界観が良かったとか言われるけれど、そういうのって正直、今はもう書けない。でもあの頃には持てなかった何かを今は手にしているという気がする。
20代でデビューして今、30代、40代で活躍している作家の姿はそういう意味で、自分の指針になってくれそうな気がする。
と......自分のことに話がずれてしまったけれど、優しく柔らかい雰囲気で、軽く読めて心があたたかくなるおすすめの作品です! 是非!

 

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