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2006年2月20日

三崎亜記 「バスジャック」


バスジャックバスジャック

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「となり町戦争」でデビューした三崎さんの二作目の本。短編集だし、それぞれ長さもまちまち、世界観もバラバラで、一冊で一つの話になっている「となり町戦争」に比べると、少し読むのに苦戦した。
 視点などはおもしろいし、テーマも感じられる。ユニークな作家だと思う。ただまだ発展途上という感じがしなくもない。型にはまってしまってもつまらないけれど、もう少し三崎さんのワールドというものが固まってきたら、もっと読みやすく、おもしろくなってくるのでは、と勝手に思った。

 短い話は、星新一を思わせる作品だった。意味が分からないまま話が進み、ところどころでくすっと笑え、そして最後に不気味な印象だけ残る。一番初めの「二回扉をつけてください」などはそんな感じだった。
 一番心に残ったのは「動物園」かな。これは「中編」くらいの長さはあるから、途中少しだれてしまったところもあったけれど、動物のイメージとか、主人公の心とか、きちんとつかまえることができた気がした。
 この本は、発表された順に並んでいるようだし、最後の二作がその「動物園」と、似たように情緒的な「送りの夏」なので、作者はこういう方向に進んでいるのかもしれない。だったらまた次の作品も読んでみたいな、と思えた。
 この人は、発想はエンターテイメントだけれど、書き方は純文学に近いものがあるような気がする。そのバランスの取り方も、今後見守っていきたい要素。
 ......と、なんか偉そうに書いちゃった(笑)

2006年1月17日

三崎亜記 「となり町戦争」


となり町戦争 (集英社文庫)となり町戦争 (集英社文庫)

集英社 2006-12
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 2004年の小説すばる受賞作。
 なかなかおもしろかった。よくこういう作品を思いついたなぁという感じ。自分の住んでいる町ととなりの町の間で知らない間に戦争が始まり(町の広報誌の片隅に戦争が始まると書いてあるというところから、静かに物語は始まる)、実感がわかないままに巻き込まれ、人が死に、そしてよく分からないまま戦争が終わる。小説すばるはエンターテイメントの賞のはずだけれど、とりたててドラマチックに描き出そうという感じでもなく、淡々と戦争が起こっている感じが、逆にリアル。あぁ、今の、戦争を知らない世代にとっての戦争ってこういう感じだよなぁ、と納得する。
 私はまだゲーム世代っていうような世代でもないけれど(でも小学校の低学年の頃ファミコンが出た世代)、でも現実感が希薄だということは時々思う。もっと上の世代にとっては、現実ってもう少し確かな手触りのあるものなんじゃないだろうか、と。
 そういう、なんとなく「希薄」だという感覚だけはある私たちの世代(まぁ三崎さんは私より五歳年上らしいが)には、結構「分かる」話だった。
 三崎さんは「役人」らしいが、役人仕事のおかしさも婉曲的に批判しているようでもあり、でも、私たちの感覚の希薄さと同じくらい、そういう仕事に対しても、「まぁ、しかたないのかも」という視点を持って書いている感じがする。結構重いテーマを扱っているようでいて、結局この話を覆っているのは、あきらめの感覚。
 視点とか設定とか、変にドラマチックにしないで抑えた感じに物語を進めるところには力を感じた。
 ただ、書きたいテーマを作者の言葉で書きすぎているところが気になった。もっと作者の意見は抑えた方が、読者に、不気味さや問題を感じさせることができるのに、と。そこは惜しい。
 でも静かに心に残る作品ではあったと思う。しばらくしたらまた読み直したくなるかもしれない。

 

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