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2013年5月 4日

川村元気「世界から猫が消えたなら」

世界から猫が消えたなら世界から猫が消えたなら
川村 元気

マガジンハウス 2012-10-25
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 今年の本屋大賞ノミネート作品。
 タイトルがなんだかいい。

 内容は簡単に言うと、余命わずかと宣告された30歳男性の前に悪魔が現れ、「〇〇を消したらあと1日、寿命を延ばしてやる」というようなことを言う。主人公は毎日、悪魔のその提案を受け入れるかどうか迷いながらも、"あってもなくてもいい"かもしれないし、実は大切なのかもしれないものを消していく......という話。

 奇抜な設定だけれど、そのもの(たとえば電話、たとえば映画、たとえば時計......)がある世界、なくなった世界に対しての主人公の感じ方、考え方については、頷ける部分も多く、突飛すぎる感はなかった。
 電話と時計についての捉え方はまぁ正直、常識の範囲を出ないところも多かったけれど、映画の章については、作者が「映画プロデューサー」なだけあって、映画に対する愛情を感じた。

 文体は非常に軽い。特に"悪魔"の語り方がふざけた若者言葉で、主人公が「あともう少しで死ぬ」という悲壮感は作品の中にまったく漂っていない。
 この本の宣伝で、角田光代さんが「小説だが、これはむしろ哲学書なのではないかと思えてくる」と書いているけれど、読んでみると、なるほど、という気がする。
 (もしかしたら角田さんにそういう意図はないのかもしれないけれど、)これは「小説」じゃないよね、と言いたくなる気持ちが分かる......(まぁ、小説ではあるけれど、文学じゃないという表現の方が適切かな)。
 少し前、自己啓発書の小説版と言われた「夢をかなえるゾウ」という本がはやったけれど、世界観としては、それに非常に近いなと感じた。

 おもしろく読めるし、設定も興味深い。普段当たり前のようにある物の存在意義を改めて感じられるし、そもそも命ってなんだろうという疑問も抱かざるを得なくなる。ラストはちょっと感動的。また映画の人だけあって、過去の説明の部分も、きちんと"シーン"として描かれていて情景が目に浮かぶ。そして猫がかわいい(笑)
 2時間くらいでさらりと読めてしまうし、読んで損はない本。

 ただ、非常に個人的な意見だけれど、これが本屋大賞じゃなくて良かったな、というのが正直な感想でもあるかな......。やっぱり本屋大賞は、もうちょっと"文学的"なものがいい。

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