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2013年2月 1日

辻内智貴「野の風」

野の風野の風
辻内 智貴

小学館 2006-04
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 辻内さんの作品は、なんとなくすっと自分になじむ感じがする。
 エンターテイメント的な、ストーリーの起伏はないのだけれど、人と人が出会って、ただしゃべっている感じとか、ぼんやりと景色を見て何かを思う感じだとか、あぁ、分かるなって。

 野の風は4つの短編集からなっている。冒頭の「野の風」が長さとしては、その半分くらいを占めている。
「野の風」は、父の危篤の連絡に駆け付けた夫婦と子供、3人家族の話。
 田舎に戻り、仕事から離れることで、いったい忙しく働き、心を失っていた自分の生活ってなんだったんだろうと思う......という、一言でいってしまえば、よくある話。
 でも、辻内さんの作品には、それだけのことをしっかり読ませる力があるような気がする。特に文章がうまいとか、表現が凝っているというのではないのだけれど、その自然さが逆に、読者にすんなり想いを届ける力になっているというか。
 脳死状態になり、機械につながれて命を長らえさせる父を見ながら、この社会もこんな不自然な装置なのかもしれない、と思う。しかもその装置は人間の「欲望」をエネルギーにして、動いている、と。その感覚はとてもよく分かった。
 そして、きっと辻内さん本人も、その装置の中でうまく暮らせないで、あがいている人なんだろうな、という気がした。
 最後は、主人公の、そんな社会の対する批判の混じった、独白(意識のない父親に対する言葉だけど)が続く。
 素人がこんな書き方をしたら、一発で下読みに落とされるだろうな、というような"文学的"ではない構成だけれど、そのストレートな言葉が、まっすぐに届いた。
 それは何の力なのだろう。「小説」というものにおいても、最終的には「文章力」ではなくて、書く人の「人間力」みたいなものが、問われるのかもしれないな。
 なんてことを、この作品を読みながら考えた。

 2話目と3話目も、じんわりと心に届く作品なので、お薦め。

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「働くビタミン・生きるミネラル」

自己肯定感を高め、自分の心を満たし、しあわせに生き、しあわせな人間関係を構築し、しあわせに働くためのヒント集です。

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