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2011年10月19日

池井戸潤「下町ロケット」

下町ロケット下町ロケット
池井戸 潤

小学館 2010-11-24
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やっぱりいいなぁ。
直木賞受賞、納得。
ザ・エンターテイメント!

「空飛ぶタイヤ」の方が、より社会性が強く、文学としては上の気もするけれど、「空飛ぶタイヤ」があくまで、マイナスがゼロに戻るまでの話だったのに対し、「下町ロケット」はマイナスをゼロに戻して、さらにプラスにする、というところで、さらに感動がある。

 作者の経歴を知っているためか、やはり「なるほど、コンサルタント!」と思う。
「空飛ぶタイヤ」のときも、大企業による中小企業のいじめみたいなものがテーマだったけれど、やはり色々な会社の実態を見ていると、社会の様々な矛盾を感じるのだろうな。
 ただそれを、ただの問題提起とか、嘆きにするのではなく、「それでも闘い、勝利を掴む物語」に作り上げていることで、多くの「社会の矛盾を感じている大人達」を元気づけられるのだろう。
 Viva 兼業作家!(笑)

2011年10月14日

香本裕世「人事が変われば、会社は変わる」

人事が変われば、会社は変わる 人事が変われば、会社は変わる
香本 裕世

日本経済新聞出版社 2007-03
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人材開発グループ長に、外部からスカウトされた矢澤久美子が着任した。
全社対象のキーパーソンインタビュー、管理職対象のキャリアマネジメント・ワークショップ、マネジメント勉強会と、次々に実施する新施策は、当初冷ややかに見ていた「制度づくり人事」の谷川人事部次長に刺激を与え、やがて現場の管理職のマネジメントスタイルにも変化が生まれる...。

というのがアマゾンに書かれていたあらすじ。
大企業の人事部の教育担当者は実際にどんなことをしているのかが分かり、大企業に勤めた経験のない私には、非常に勉強になった。
なかなか大企業相手に仕事をする機会は少ないけれど、大企業がどうやって「教育」を行っているかを知ることで、それをアレンジして中小企業に広めるのが、私たちの役目かもしれない。そう考えると、教育研修をしようと思っている社労士は読んで損をしない内容だと思う。

最後の方は、実際に管理職の研修や勉強会はこういうカリキュラムで、こんな内容で行うということが書かれていて、自分の研修の内容にもかなり取り入れられそうなところもある。


ただ個人的に心に一番残ったのは、「プランド・ハップンスタンス」という考え方。キャリアカウンセリングの理論らしい。

スタンフォード大学のクランボルツ教授が、数100人の成功したビジネスパーソンのキャリアを分析したところ、そのうちの8割が「いまある自分のキャリアは予期せぬ偶然に因るものだ」と答えたということをきっかけに構築された理論だということ。
直訳すると「計画された偶然」。

私は高校時代に宮本輝のエッセイで出会ってから、好きな言葉を聞かれると、小林秀雄の「命の力によって、偶然を必然と観じる」と答えているのだけれど、きっと同じようなことなのだろう。

クランボルツ教授の理論によると、つまり、予期せぬ偶然の出来事を、まるでもともと計画されていたかのような必然のこととして上手く人生に取り入れられた人が、良いキャリアを形成できるということなのだろう。

ちなみにこの理論によると、予期せぬ偶然を「プランド・ハップンスタンス」に変えるには、次の5つの力を磨くことが必要だと言われているらしい。

 ○好奇心(Curiosity):新しい学習機会を模索すること
 ○持続性(Persistence):失敗に屈せず努力をすること
 ○楽観性(Optimism):新しい機会が「必ず実現する」「可能となる」と捉えること
 ○柔軟性(Flexibility):信念、概念、態度、行動を変えること
 ○リスク・テイキング(Risk-taking):結果が不確実でも行動を起こすこと

自分のことを振り返ってみると、確かに今のキャリア(というほどのものを自分が築けているとも思えないけれど)は、上記5つに基づく選択の結果だった気もする。

 

「神話の力」でジョゼフ・キャンベルも似たようなことを書いていた。

『ある程度歳をとり人生を振り返ってみると、そこにはひとつの秩序があるように見える。
まるで誰かの手で構成されたかのようだ。
ただ偶然に起きたように見えた出来事も、実は次の展開のために重要な要素だったことがあとになって分かる。
この筋書きは一体誰が作ったのだろうか


思いがけないことも、思うようにいかないこともあるけれど、神様の与えてくれた「偶然」を信じて、そこに懸命に取り組んでいけば、道は開けるのかもしれない。
そういう考えは、気持ちを楽にしてくれて、いい。

 

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