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2009年1月19日

田渕俊夫展 ~広がりを感じること

今日は、昨日出社した分の代休をもらい、一人で日本橋近辺をぶらぶらしていました。
用事がない休みの日は、大抵、銀座・東京駅・日本橋付近にいます(笑)

で、たまたま立ち寄った日本橋高島屋で、「田渕俊夫展」のポスターを見て、気になったので見てきました。
京都の智積院に奉納した60枚の襖絵の公開。
http://www.nhk-p.co.jp/tenran/20090114_132329.html
こんな感じの、落ち着いた水墨画です。

ときどき心が疲れてくると、一人で京都や鎌倉に行って、お寺でしずかにお祈りしていたくなるのだけれど(中・高はキリスト教系の学校だったりしますが(笑))田渕さんの襖絵は、見ているだけで、お寺の広い空間を感じられ、また、艶やかさはないけれど、しっかりと大地に根を張った、植物、自然の美しさを伝えてくれ、本当に良かった。
癒される、というより、心が震える感じ。

最近、三省堂の入り口に平積みされていたので気になって買ってしまった
茂木健一郎さんが翻訳したという
『「脳にいいこと」だけをやりなさい!』
とう本に、
「幸せになる考え方とは、外に拡大していく感覚を伴うものだ」というようなことが書かれていた。
「たとえば何かの選択を迫られたとき、立ち止まって大きく息を吸い、どちらの選択肢がより頭の中で明るさや広がりを感じさせてくれるかを考えます。エネルギーの拡大を感じる選択をしたときは、なぜかいつもすべてがうまくいくのです」
と、その本には、書かれています。

「脳にいいこと」だけをやりなさい!「脳にいいこと」だけをやりなさい!
茂木健一郎

三笠書房 2008-11-07
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確かに、心が疲れているときは、「あれはしたくない」「こんなことが起こったら嫌だな」「あのとき、あんなこと言ってしまった......」とか、どんどん内に内にこもっていってしまいがちの気がする。

そういうときこそ、広がりを感じさせてくれる絵を見たり、大きな力を感じさせてくれる存在のある寺社仏閣に赴いたり、ビルなどで視界のさえぎられない田舎に出かけていくって、重要なことじゃないかな、という気がする。

作品の最後に、製作過程などを紹介するビデオの放映があったのだけれど、それを見たら、また違った感動があった。
何十、何百というすすきの生えた野原の絵などがあるのだけれど、それは、何度かに分けて写生をした非常に精密なデッサンを透明なフィルムに焼き、それを少しずつずらしていって、数を増やし、さらにそれをプロジェクタでふすまに投影して、その下図を参考にしながら、墨を置いていって描いたのだと......と。
もっと感覚で描けるものなのかと思っていたけれど、そんな気の遠くなるような作業の結果だったのか、と思ったら......。「プロ」の仕事に衝撃を受けた。
楽していい作品は作れないね~。

計画していたわけではなく、たまたま気になって入った展覧会でしたが、行ってよかった!

2009年1月 5日

小川糸「食堂かたつむり」

小川糸「食堂かたつむり」を読みました。

食堂かたつむり食堂かたつむり
小川 糸

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三省堂などで平積みになっていて気になっていたのですが、ようやく読めました。

恋人に家具からなにから一式持ち去られ、声まで出なくなった女性が、唯一の親族である母親を頼って実家に帰り、そこで食堂を開く、という話。
母親に対しては憎しみのような複雑な感情を持っているのだけれど、その関係がどうなっていくか、というところに主なストーリーの流れはある。

ともかく食材や、調理の方法が丁寧に描写されていて、好感が持てた。
食べるというのは、命あるものを殺して、それを自分のエネルギーに返るということでもあるけれど、その少し残酷にも思える部分からも目をそらさず書ききっているのがいい。

個人的な感想としては、よしもとばななさんの初期の頃の作品にちょっと似ているかな、という気もする。
全体としてはまじめなテーマを丁寧に書いていっている感じなのだけれど、型にはまり過ぎない、やわらかさや遊びの部分、きれいにまとめすぎていない自由さがあっていい。

中盤から急激にストーリーが展開し、「え? そうなるの?」と、ちょっと作り物めいたものを感じてしまったりもしたけれど、楽しく、心地よく読める作品だったので、それもありかな。

もっと体にいいものを考えて、料理をして、自分の体に取り込みたいなぁ、と思いました。
料理が好き、と言えるひとって、幸せだよな~、などと、ぼそっと呟いてみたりして。

フォントも大きく、すらすら読めるし、全体的にやわらかく、あったかい作品なので、仕事が忙しかった週の週末などに、コタツに入ってゆっくり読むのが最適!
(あ、夏に読んでもいいけどね(笑))

2009年1月 4日

伊坂幸太郎「モダンタイムス」

伊坂さんのモダンタイムスを読みました。

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伊坂 幸太郎

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一番最近読んだのが「終末のフール」、その前が「砂漠」「魔王」「死神の精度」という順だったと思うのだけれど、このあたりの4作は、私の中では「何かが違う......」という感じで、物足りなさを感じていたのだけれど、これは、「これぞ伊坂さん!!」と嬉しくなるような作品だった。

漫画週刊誌に1年間連載したものをまとめた、とあとがきを読んで知ったのだけれど、これだけのものを毎週書いて出せるってすごいな~、と、ただただ感心。

この作品は「魔王」の続きで、超能力の話、政治の話、自分で思考しないと大変な力に取り込まれてしまうという話......などが引き続き語られる(読んでいない人には、意味がさっぱり分からない説明だと思いますが......すみません)。
やはり「魔王」を読んでから読むのがいいと思うけれど、読んでいなくても楽しめるとは思う。

「魔王」の続編ということで、設定は未来。
システムエンジニアだった伊坂さんが、たぶん初めて書いた、SE小説(?)。
システムがさらに発展し、インターネットの世界も進化する......するとどうなるか、という、ちょっとSFがかってもいるミステリー。
展開が読めず、イベントは多発し、飽きずに読める!

ただ「魔王」同様、また、政治などについて、かなり強い主張がある。
私はどうも作家が、メジャーになるとなぜか「主張」しはじめるのがあまり好きではない。
でも、この小説の中には「井坂好太郎」という小説家が登場して、さらにストレートに「主張」するのだけれど、それを読んでいたら、伊坂さんの抱える切実さ、みたいなものも分かって、逆に、全部受け入れられる気がした。
まぁ、マイナーな作家とかアマチュアが間違っても、あんな「語り」をしちゃいけないと思うけど(汗)

その井坂好太郎が小説というのは、音楽などと違って、集団を先導できるものではない、ただ一人ひとりの心に深くしみるものだ、というようなことを言う。
あぁ、なるほどなぁ、と思う。

伊坂さんは本当に頭が良くて、いろいろ考えている人なんだろうな、という気がする。
小説も、きっと、「使命感」を持って書いているんだろうな。
そう思ったら、これからも読み続けたいな、と純粋に思った。

この本は、純粋なエンターテイメントとしても楽しめるし、お勧め。
かなり長く、単行本は持ち歩くには重すぎるのが難点ですが、それ以外は、私にとってはパーフェクトでした!
メインのストーリーとは関係のないところでも、たっくさん伏線を貼っているというか、いろいろな工夫があって、本当、ただただ、すごいです。

 

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