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2008年11月20日

田村裕「ホームレス中学生」

「ホームレス中学生」を読んだ。

ホームレス中学生ホームレス中学生

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予想以上に良かった。

プロでなくても誰でも1冊は傑作を書けるとはよく言うけれど、 まさにそんな1冊。
こなれた文章でないからこそ、伝わってくるものがあり、 純粋に楽しめた。

幸せって、どんな物をもっているか、ではなく、 単純に、幸せを感じられる心を持っているかどうかで決まるんだな。

ご飯は、おかずの添え物、効率よくおなかを満たしてくれるものと しか思っていなかった自分に気づく。
この本を読んでから、しっかりご飯を噛んで食べ、ご飯自体が甘い ってことをはじめて知ったりする。

自分は感謝すべきものにちゃんと感謝して生きているだろうか。
きちんと味わうべきものを、味わって生きているだろうか。

あとがきの
「僕はお湯に感動できる幸せのハードルの低い人生を愛しています」
という言葉が、心に残った。

「いい人」とか「清貧さ」とかを無理に作ることなく、お腹がすい たら人並みに不機嫌になったり、人にキレたりもしながら、でも、 基本的に、人に感謝を忘れず、たとえ平均以下の暮らしでも、そんなふうに卑屈になることなく、0ではないことに感謝して生きる......
そんな、ありのままの、等身大の姿に、いろいろ感じることができた。

こういう本こそ、小学生の夏休みの課題図書とかにいいんじゃないかと 思う。
いろいろ大切な心の力ってあるけれど、そのなかでも、感謝する心を 育てるって、子供時代は大切だろうな。
なんてことをいろいろ、思いました。

お母さんへの想いの部分とか、周りの人の温かさに触れるところとか、 結構泣けます。

有名人の書いた本でしょ、どうせ、と思わずに、是非! お勧め。

2008年11月18日

雫井脩介「クローズド・ノート」


クローズド・ノート (角川文庫)クローズド・ノート (角川文庫)

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映画化もされた「クローズド・ノート」読みました。

映画も気になっていたのだけれど、見られず、そのままになって いたのだけれど、雫井さんの「火の粉」を少し前に読んで、 その上手さに舌を巻き、「クローズド・ノート」もこの人の 作品なのね、と気づき、購入。

「火の粉」は上手いけれど、ちょっとホラー的で、人の嫌な面を 徹底的に書ききって、だからこそ、リアリティがあるという感じ の作品なのだけれど、「クローズド・ノート」はまったく違った テイストで、あったかい気持ちになれ、とっても良かった。
女性的な文章だし(火の粉のときも感じたけれど、女性の視点で 書くのが上手い!)、女性にお勧めの本かな。
名前から見るに、男の人っぽいけれど、本当に男の人だよね??

恋愛のくだりもいいけれど、主人公のひとり(という説明でいい のか?)は、小学校の先生で、子供たちとのふれあいのなかから 感じたことを、日記に書き記している。
その文章が、「あぁ、やっぱり、こういう人こそ、先生にふさわ しい」と思える、あったかい視点と想いにあふれていて、とても 良かった。
ただでさえ、そういうのは、郷愁を誘って、悲しい話でなくても 泣けてしまうのに(やっぱ、塾の先生時代は楽しかったな)、 こんな、ストーリーの力まで加わったらなおさらだ。

こんな、まったく違った顔を持った作品を、しかも両方とも非常に 高い質で書き出している雫井さん。
気になる作家の一人に登録完了! です。

2008年11月11日

乃南アサ「涙」


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いろいろなところを旅して人を探しつつ、殺人事件の真相を探る ミステリー。

後半は、やはり乃南さん、という力を感じました。
人の心の動きを捉え、読者の心を本当にしっかり捉える人だな。
ただ、正直、前半、いろいろなところを探すけれど見つからない、 という部分が長いのは、ちょっと飽きてしまった。
けど、そういう長さがあるから、最後の再会に読者も感動できる のかもしれないし、物語の構成とかバランスについて、改めて 考えるきっかけになりました。

2008年11月 5日

小林正人さん(画家)

先週の金曜日、私の好きな画家・小林正人さんがトークイベントをするというこで、竹橋の美術館に行ってきました。

http://www.shugoarts.com/jp/kobayashi.html

小林さんは、四角く形を整えられたキャンバス自体も人の作ったもの、と感じ、それに自分の絵を描くことに違和感を覚え、キャンバスに絵を描きながら、同時進行でそれを木に打ちつけて作品を作る、という「現代美術」の画家。

毎日星空を見上げて目を洗う、という名言もあるような、ピュアな芸術家で、以前からとても気になっていた。

以前から写真は見ていたけれど、思った以上に「芸術家」だった。
ここまでTHE芸術家、という人に最近あまり会えなかったので、おどろいた。

1時間ほどの講演だったのだけれど、言っていることが抽象的で、しかもとっても感覚的で、分からない......(^^;)
小林さん自身も「分かりましたかね?」って何度も聞きながらだったけれど、8割くらいの人は分かっていなかったし、半分くらいの人は、「難しすぎるわね~」と聞こえるように言っていた......。

しかも、質問タイムは、大荒れ。
「この絵で一番明るいところはどこだと思われますか?」
という質問に、
「絵というのは、どこからどこまでを指して絵、なんですか?」
と質問を返し、それから、
「明るいって言われても、分からないな。ここにあるのは光だけで、明るいという概念はないから。......そもそも質問の意味が分からない」

というようなやりとりを、3,4人とされていました。
いや......これぞ私の思う「芸術家」!

でも、「芸術家」だと思って、結構ファンだった嶽本野ばらさん(作家)は覚醒剤使っていて、捕まっちゃうし......。
最近、芸術家とか表現者とかって何だろう、と思う。

自分がそういう意味での「芸術家」にはなれないことも痛感したしな。
ただ、身近にいたら分からないけれど、遠くから見ている分には、私はそういう「芸術家」の存在が好き。

講演後、一言話しかけに行きたいと思いながらも、何を言ってもかみつかれそうで怖くて行けませんでしたが......でも、これからも私は小林さんの絵のファンであり続けます。

 

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