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2008年7月24日

乃南アサ「しゃぼん玉」

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久しぶりの乃南さんの作品を読んだ。

乃南さんもミステリー作家と分類されるけれど、 伊坂さんとはまた全く違い、もっと、人の心とかテーマにまっすぐ正面から向き合っている作家、という気がする。

今回の作品は特に、「思いがけない展開」になるわけではないけれど、それでも、最後まで読ませ
てしまう力がある。
そして、あぁ、分かるな、と思う。

無差別殺人などが多いこの時代へのメッセージなのだろう。
人の心をとかすのは、人との出会いでしかない、と。

とても温かい気持ちになれた。
心が疲れた人にもお薦め。


ただ、もうちょっと心が元気な人には、乃南さんの心理描写の傑作中の傑作、「風紋」と「晩鐘」を
読んでもらいたい!
犯罪被害者の家族のその後を追っていったもので、特に「ミステリー」的な要素はなく、ただ淡々と、
その登場人物のその後を描いているのだけれど、これが本当に上手い!
なんで人の気持ちをここまで想像して描けるのだろう、と感動する。
強くお薦め!

2008年7月21日

「ぐるりのこと」


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橋口亮輔監督の6年ぶりの新作。
そのあいだ、鬱にかかっていたり、色々大変だったようだけれど、 そういうのを乗り越えてきたからこそ見えてきたものを描ききった のだろうな、という傑作だった。

生まれたばかりの子供を失った女性の、心の痛みが中心なのだけれ ど、夫婦の絆によって「再生」していく物語。

夫役のリリー・フランキーさんが良かった。

やっぱり最後に支えとなるのは、「家族」なのだな、という気がし た。
ただ、支えてくれる人がいるということともう一つ大切なのは、 本当につらいとき、つらいと外にアピールすることなのかもしれない。

派手さはないけれど、心に迫ってきて、心の奥に眠らせていた痛みを じわっと昇華させてくれるような映画だった。
最後にはあたたかい気持ちになれるいい映画だった。

前の橋口監督の作品は、繊細で勢いがあるけれど、どこかばらばら な感じがあった。
でも、今回は、すごく完成されている世界だった。
作り物くささがなくて、あぁ、分かる、って。
だから心が少し痛くもなるけれど、痛みを感じるからこそ、救いも 感じられる。

今回は、様々な裁判のシーンを挿入することで、時代を映しだした り、他の人の心の動きを取り込んだり、そういう「工夫」もされて いたけれど、奇をてらわず、まっすぐ、テーマに向き合っている 作品、という感じがした。

2008年7月 4日

「イニシエーション・ラブ」乾くるみ

新聞でも、本屋さんのPOPでも
「普通の恋愛小説かと思ったら、最後の最後にミステリーになる」
と絶賛されていて、気になっていた本。

確かに、読んでいるあいだは、ちょっとこっぱずかしくなるくらい
ふつーに青春小説というか、恋愛小説。
今更珍しくもない感じ。

ただ、本当に最後の最後に「え?!!!!」
となる。

いやぁ、本当にびっくりした。

今まで頭で組み立てていたストーリーとかそういうものが、がらがら
っと崩れていく、気持ちよさ。
だましてもらいました。

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伊坂幸太郎さんの「ラッシュライフ」も最後の最後に、これは、
どんでんがえしってわけじゃないけど、「おぉ、こういう構成になって
いたのか」と分かって、その精密な構成に、ぞっと鳥肌が立つ感じが
したけれど、これも、なかなか。


ラッシュライフ


http://tinyurl.com/6869zj

最近、プロットとか構成の力というものを本当に痛感する。
私も、なんか「あっ!」と言わせるものを書きたい。
でも、こういうのって、ひらめけるかどうかなのかな。

ビバ、ミステリー!

 

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