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2006年10月29日

「DEATH NOTE -デスノート-」(前編)


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大場つぐみ

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後編公開の前に、前編がテレビで放映されていた(このあいだの金曜日)。
劇場で見た知り合いが良いと言っていたので、気になっていたけれど、想像していた以上に奥が深く、ちょっとテーマは重たかったけれど、なかなか考えさせられる上質な作品だった。
簡単にあらすじを書くと、名前を書けばその人を殺せるというノートを手に入れた主人公が、「正義」のために犯罪者の名前を片っ端から記し、自分の行う「正義」に悦に入っているが、そのうち、彼自身が殺人犯として警察などに追われるようになる、というような話。

主人公の藤原竜也くんも、その主人公を追う側のL役の人も、見る人を納得させる雰囲気をかもしだしていて良かった。藤原くんはやはり舞台出身の人だからか、上手いなぁ。しかも見た目もいいし、なかなか(ただ、沖田総司のイメージが強いなぁ、私は)。

ストーリーの作り方も、構成の仕方も上手かった。映画の方を見たあと、最近深夜にやりはじめたというアニメの方をちょっとだけ見たのだけれど、情報の出し方が映画の方が上手いように感じた。見る人を「え、そうだったの」とか「それでどうなるんだ」と思わせる仕組みを上手く作っている。

でも、最近の漫画ってすごいなぁ。深いものは本当、エンタメ系の小説よりずっと重くて考えさせられる。
今回も、「正義」について考えさせられた。結局、「自分は正しい」と揺らがない人って怖いんだよな。
それはその人自身が、あるときポキリとおれてしまいそうな怖さでもあり、人を不必要に傷つけてそれに無自覚であるという怖さでもある。
特に教育など答えのでない世界にいて、文学という答えのないものに向き合っているとよく思う。ビジネスにおいては、「私に任せてください」と自信を持ってアピールすることが大事なのは分かるけれど、それでも、自分のやっていることにみじんの疑いのない人ほど、信じられない人はいないと思う。
揺らぎながら、時々は自信を喪失しながら、もっといい方法や考え方があるはずだと悩みながら、人は成長していく。
「これが答え」「これが正しい」と思ったところで、人の成長は止まる。
そんなことを思った。
(この映画だけの話ではなくて、身の回りでもいろいろ考えるところがあったのもあるけれど)

後編は劇場に見に行こうかな。
予告を見る限り、かなりまた展開するらしいし。

2006年10月26日

「涙そうそう」


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吉田紀子

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なかなか良かった。ただまぁ、広い意味での娯楽映画で、芸術作品という感じではないなぁ。沖縄の風景は生きていたけれどね。
妻夫木君はいつも通り、安心してみられる演技だった。そして妹役の長澤まさみが想像していたより良かった。結構好きかも。妻夫木君は、微妙に高校生くらいのまだかわいかった頃の弟に似ている。そんなこんなで、私もしばらく会っていない、兄弟のことなど思い出したりしました(笑)
ストーリーは基本的に淡々と進んでいき、その日常の中で兄弟それぞれが何を思い、どう考え、どんな選択をしていくのかがしっかりと書かれていて、好感が持てた。波瀾万丈なストーリーがなくても飽きずに見せられる映画なり本なりはいい。もっと、「非日常」的な出来事を思い切って削っていってしまっても良かったかも、というくらい、描写や細部にきちんとリアリティがあった。
見ていない人には伝わらないと思うけれど、祭りのところで二人が言い合うシーンが泣けた。二人ともの気持ちが伝わってきた。自分のことを考えての言い争いではなくて、相手を思うがための言い争いって美しい。
ラストは全然知らず、予想せずに見ていたので、かなり唐突な展開に驚いてしまったけれど、「涙そうそう」の曲を考えれば、当然の結末ではあるのかな。でももうちょっと、最後の方を丁寧に描いてほしかったなというのが正直な感想。ちょっとあっけなさすぎて、感情がさめてしまった。
でも、全体的に良くできた作品だと思う。人を大切に思う気持ちって何だろう、というようなことを考えたい、純粋な心(時期、気分)の人におすすめです。

映画「博士の愛した数式」


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 小川さんの作品の映画化。
 小説もあたたかく愛に溢れた内容で良かったけれど、映画も負けていなかった。小説にはないエピソードを加えながらも、その世界を変えてはいず、むしろ補強していて好ましかった。

 小川さんがこの映画に対し、「全てのシーンが素数みたいな映画だった」というようなコメントをしていたけれど、なんだか分かった。すごく新しいという訳ではないのに、今まであったものとはどこか違うような感じがする。
 時々、原作の良さはどこにいったの? というような映画もあるけれど、小川さんはこういう才能のある人に映画にしてもらえて恵まれているなぁ。これを機に、もっと小川さんの作品を読む人が増えたらいい。まぁ、他の小川さんの作品はこんな愛に満ちてはいないけれど......(笑)
 この映画で、博士と家政婦、博士と家政婦の息子の関係も良かったけれど、家政婦とその息子の関係も良かった。こうやって子供を一人の独立した存在ととらえてしっかり向き合える人はいいなと思う。甘やかすのではなくて、しっかりと相手を認めること、これは大切。
 少し前、テレビで深津絵里がこの映画のことを語っていた。子供がいる役を初めてもらって、嬉しかった、いままで頑張ってきたご褒美のようだったと言っていて、その言葉も良かった。普通であることを大切にしてきたとインタビューでも言っていたけれど、自然体の軽やかな美しさが魅力的な人だな。
 あと、息子役も、博士役もよかった。
 博士と義姉の関係は小説よりもっとはっきりと描かれていたけれど、でもどこか描ききっていないところもあって、それも良かった。
 ただ一つ、ルート(息子)が大きくなったという設定で、吉岡秀隆が出てきていたけれど、その「成長したルート」を出したのは成功だったのかどうかはよく分からなかった。上手く使えているところもあれば、吉岡君の場面になることで、流れが止められてしまうところもあったので。
 あえて言えばそれくらいかな。
 とにかく全体的に良くできた映画だった。淡々としているけれど、心の奥に伝わってきて染みるものがあった。良質の作品、って感じ。お勧めです!

2006年10月24日

劇団ひとり「陰日向に咲く 」


陰日向に咲く陰日向に咲く
劇団ひとり

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話題になってからだいぶ経ってしまいましたが読みました。
文章力があるとか、文学的だというのとは違うけれど、おもしろかったし、上手かった。上手いのは、キャラクターの作り方かな。ストーリーでも文章でもテーマでもなくただひたすらキャラクター。
有名人が本を出すと、ゴーストだとかよく言う人もいるけれど、これは劇団ひとりというお笑いの人が、そのお笑いの世界を追究しているうちに生まれた副産物という感じがして、誰にもゴーストだと言わせないぞという彼らしさが満ちていた。
この本を読むことで、普段からこの人は、すごい一生懸命、笑いとかおもしろさを追い求めているのだろうな、という「プロ意識」を感じた。そうやって日々積み重ねてきたものは、お笑いという形で舞台に乗ってもいいし、小説という形で出版されても同じことなのではないか、というように思った。
だからこれは処女作ではあるけれど、初めての「デビュー」ではないという感じがした。

多分この本は、たいていの人に「おもしろい」と受け入れられると思う。ただ、「文学」を読み慣れていて、そういうものを求めて手に取った人には、「ちょっと違う」と思わせるものではあるかもしれない。
各ストーリーには落ちがあるのだけれど、「わざわざそんな無理して落ちをつけなくても良かったんじゃない?」というのもあれば、「そういう落ちはよくあるよね」というのもある。そういうところで、「これは文学じゃなくて、きっとお笑いなんだよな」と、自分を納得させないといけない部分などもあった気がする。
(でも、2つくらいは落ちが良かった)
上手く言えないけれど、本をあまり読まない人には、「おもしろかったから読んで」と勧められるけれど、文学仲間には勧められないって感じかな。
ただ、私はありきたりの人間しかあまりかけない人なので、「キャラクターを作る」という意識はとても学べて良かった。
多分、二作目を出したら読むだろう、というくらい気に入ったし。
劇団ひとりは一人ネタをやっているときは近づきたくないほど変な人だけれど、「純情きらり」ではすごい魅力的な人になっていたし、なんか興味をそそられる人ではあるなぁ。今後も期待。

2006年10月20日

ダリ展

今日は上野でダリの回顧展を見てきた。
テレビCMまで流れているせいか、満員盛況。私は昼過ぎに行ったので、「うわぁ、混んでいる」ですんだけれど、出てきた頃(3時ぐらい)には、入場制限されていた。行く予定の人は気をつけて!

ダリはまぁ難解で、周りから「全然分からない」という声がたくさん挙がっていたけれど、それは別に分からなくてもいいんじゃない、という気がした。
私は基本的に、意味の分からない絵の前で、意味の分からないまま立ちつくしているのが結構好きなので(抽象絵画とか好き。ポロックみたいのとか)。

特にダリは、色の使い方とか、背景がだだっ広く広がっている感じとか見ていて気持ちいい。ちょっと違和感を与える配色の砂漠と空みたいな広い感じの風景に、小さな人が数人ぽつんと描かれているようなものとか、ちょっと奇妙で、どこか不協和音みたいなものを感じるのだけれど、それがまたいいのよね、って感じ。
意味のあるものも、もちろんあるようで、ところどころプレートに説明が書かれていて、それを読むと、それはそれでおもしろいけれど、でも説明されると興ざめって部分もある気がした。
ダリの世界はあくまで夢や無意識の不条理につながり、分断された世界ってことでいいんじゃないかって思う。

今回は朝日新聞から招待券をもらったから行ったのだけれど、たまには美術館もいいな、と改めて。特に現代のちょっとよく分からない感じの「アート」が見たくなった。

 

2006年10月 5日

瀬尾まいこ「温室デイズ」


温室デイズ温室デイズ
瀬尾 まいこ

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久しぶりに瀬尾さんの本を読んだ。最近、以前よりハイペースで本を出している気もするけれど。
瀬尾さんの本にしては、ちょっと「痛さ」が多かったかな。いつも大体、主人公はハッピーな境遇ではないのだけれど、それをアンハッピーとも思わず、強く生きている感じがする。それに対してこれは、主人公自身が、かなり痛みを感じてしまっているので、その分、少し重く感じられた。
特に、瀬尾さんが学校の先生をしていると知っているから、あぁ、本当にこういうこと感じているのだろうな、なんて、同じ教育者?としていろいろ考えてしまうところもあり。

ただ、ラストはやはり期待を裏切らず、希望を感じさせるものになっている。やっぱり小説って、最後の「光」みたいなものは大切だと思う。安易に主人公たちを救わない方が、「文学」っぽくて、ある意味完成度が高くまとめやすいのだけれど(特に純文学の場合?)、読者としては希望のあるラストを求めるよな。
瀬尾さんや宮本輝の小説が売れるのは、そういう安心感があるからだと思う。

そして瀬尾さんの作品のいいところは、「行動」が物事を変えるということを示しているところ。考え方が変わることで救われることもあるけれど、でも、大切なのは「行動」だと、最近思うな。
主人公やその友人の、思いがけない「解決のための行動」がいい。

ただ、瀬尾さんの本を読んでいない人には、「優しい音楽」とか「卵の尾」とか「図書館の神様」の方を勧めたいな。
ちょっと元気をもらいたいとき、おすすめの作家です!

 

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