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2006年9月 8日

東野圭吾「時生」


時生時生
東野 圭吾

講談社 2005-08-12
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2ヶ月ほど前に買ったと書いた小説。
ようやく今日、読み終わりました。一冊の本にこんなに時間がかかるのは随分久しぶり。いまだに少し、小説を読んでいると、もっと実用書を読んだり、勉強をしたりした方がいいのでは、なんて気持ちになってしまうし。でも、こうやってのんびり小説を読んだりできるのは、「自由」ってことなのかもなぁ。

東野さんの作品は、「容疑者Xの献身」に続き2冊目。作品全体の出来としては、「容疑者Xの献身」の方が完成度が高かった気がする。トリックや謎に最後にかなり驚くことができたし、「プロ」としての安定した筆力を感じた。
それに比べると「時生」の方は、ミステリーとしてはお粗末な部分も多かった気が。脇役のキャラがどこか他の作品から持ってきたような、ステレオタイプなものだったり、会話や立ち回りもところどころ陳腐に思えた。でも、もしかしたらそれは全部作者の計算なのかもしれない、とも思った。どこか作り物めいた世界を意図的に作っているのかもしれない。

そして、ミステリー以外の、テーマとか主要な人物の心の動き、人と人との関係という部分では、「時生」はとても良かった。「容疑者X」も感動する話だったけれど、それ以上に、かなり心に迫ってくるものがあった。テーマが、普遍的なものだからかもしれない。親子の関係、人を許すということ、自分の人生に自分で責任を持つということ......大事なテーマが説教くさくなりすぎることなく、さわやかな「トキオ」青年の口から語られるのが良かった。
この小説のなかの関係は、現実にはありえないものだけれど、現実でも、子供が親に支えられ、親から色々教わるのと同時に、親が子供に支えられ、子供に教えられることは必ずあるのだろうという気がした。東野さんが最後に一番言いたかったことがそういうことだったのかは分からないけれど。

とにかく、ちょっと悲しくはあるのだけれど、心が温かくなり、子供を持つのもいいな、と思わせてくれる作品だった。
そして、私が良いと思ったのはそういうテーマの部分だったけれど、それだからこそ、大切なテーマや大切なシーンを書くために、ミステリーなりエンターテイメント的な要素を入れることも大切なのかな、ということも考えさせられた。

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