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2006年5月25日

川上弘美「神様」


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久しぶりに川上弘美を読んだ。
「蛇を踏む」はちょっと読んで挫折し、その後、手に取ることもなかったけれど、人に勧められ二年ほど前手に取ってみて、けっこうはまった。
ただそうは言っても、まだ読むのは3,4作目くらいかな。

これは川上さんのデビュー作を含む短編集。
こんな作品でデビューしていたんだ、と驚くような、なるほどと納得するような。
表題作「神様」はとっても素敵な物語だった。
確かに「文学」なんだけれど、ファンタジックな「物語」でもあり、あったかい。
一言でいうと「近所に住むくまとピクニックに行く話」なので。

それ以外の話も、ちょっとずつ幻想的な部分があって、でも不思議とその存在に違和感がなくて、素敵。
不幸をまきちらす「文学」のなかにあって、この優しさ、明るさ、あたたかさには救われる。
試験勉強の疲れも癒された、という感じ。

あと「星の光は昔の光」は男の子の言葉がきれいだった。
「離さない」はけっこうテーマを感じたけれど、最後の最後に思っていたのと書かれていたのはもしかしたら違う主張だったのかもしれないという気づきを与えられた感じがした。
「春立つ」はなんか分かるなぁ、という気がした。

短い話が多いけれど、それぞれきちんと心に何かを残してくれる。
一言でいっちゃえば、才能!
って感じかなぁ。
さすが川上弘美だ。

ってことで、おすすめ!

2006年5月24日

「ANGEL-A」


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リュック・ベッソン

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リュック・ベッソンの6年ぶりの新作。ベッソンは10作しか映画を作らないという話でこれがラストという話もあるけれど、宮崎駿みたいにまた作るんじゃないかなぁ、という気もする。

というか、作って欲しい!!

と、思わせてくれる映画だった。
やっぱり才能のある人は違うなぁ。

テーマはもしかしたらけっこうありふれたものかもしれない。
ひとりの女性と出会い、愛すこと、愛されることを知ることによって、自分自身の人生や心の持ち方が変わってくる......そんな話。

でも、白黒の画面はとても美しかったし、主人公アンジェラも絶妙の美女だったし、言葉や台詞の一つ一つが印象的だった。
特に作っている側は泣かせようという意図で作ってはいないのだろうというところで、思わずうるっと来てしまうような映画だった。

「人に愛されようと思ったらまずは自分が自分を好きになること」とは最近よく聞く言葉だけれど、この映画では、「人は人から愛されなければ、自分のことは愛せない」と言い切る。
でも、幸せに生きるためには自分を愛することが一番大切、と伝えている。
そういう意味では、スピリチュアルなメッセージたっぷりの映画という感じがした。
上のメッセージの他にも、結局今を楽しまないと、いつ楽しめるの、というような台詞も至るところで繰り返される。
これは最近自分がよく考えていることだからかもしれないけれど、心に残ったな。

うるさくならない程度にきちんとテーマを伝えている。そして、ストーリーもしっかりしているけれど、作りすぎた感じもなく、芸術性も高い。
あ~、才能だ。
と、本当、とても良い映画でした!

今日はレディースデイなのに観客が少なかった。「ダ・ヴィンチコード」に客を取られた感じだった。
でも!
どちらか見るなら、「アンジェラ」です!!

2006年5月15日

吉田修一「日曜日たち」


日曜日たち (講談社文庫)日曜日たち (講談社文庫)

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久しぶりに本を一冊読み終わった。
この頃、本当、読めていないなぁ。
でも、一日30分でも小説を読む時間があると、結構幸せな気持ちになれる。
特に久しぶりに好きな作家の本を読むと、やっぱり好きだなぁという気持ちが溢れてくる。その作家が好きというのもあるし、小説が好きというのもある。
そして自分が気持ちの上で、小説の世界から遠ざかってしまったわけではないのだと、ちょっとほっとする。

この小説も吉田修一らしい本だった。
5つの短編からなっているのだけれど、やはり、ちょっとダメな男の子を主人公にした作品がいい味を出している。
一番好きなのは、一番初めの「日曜日のエレベーター」。この男のだめっぷりがいい。
そして、この台詞。
「誰かを愛するということが、だんだんと誰かを好きになることではなくて、だんだんと誰かを嫌いになれなくなるということなのだと知ったのだ」
すごくいいなぁ、と思った。
でもどうして嫌いになれなかったのに、別れてしまったのだろう。それがダメ男がダメ男たるゆえんなのかもしれないけれど、「あ~、どうして!」という気持ちは最後まで残り、でもそれは不満というより、余韻として良い感じに残る作品だった。
あと「日曜日の運勢」も良かったかな。同じような主人公が、でもちょっと違った行動を取る、お話し。


それから前編に「脇役」として、二人の子どもが出てくる。それがつながりがない5つの話を、串でさしたように貫いている。こういうのも吉田修一らしくて好き。
しかも「脇役」ではあるのだけれど、効果的に主人公の気持ちを変えるのに役立っている。

文庫本になっている本なので、電車の中で読む本のないときなど、ちょっと買って読んでみてもらいたいな、と思います。

2006年5月11日

「レント」


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約1ヶ月ぶりに映画を見てきた。
そしてこの1ヶ月一冊も小説が読み切れていない。
やばいな(^^;)
でもさすがにテキストと過去問だけの生活では潤いがなさ過ぎて精神的に参ってきてしまったので、この頃は一日に1時間は執筆or小説読書の時間を作るようにしている。
それだけで気分が結構違う。
やっぱり私は小説が好きだ!と思う。
今は特に何の賞に出すとか決めていないけれど、100数十枚くらいを目指して書いている。ゆっくりのんびり、自分の書きたいものを書いていこうかな、と。でもそれが誰かの心に届き、その人の気持ちをちょっとでも軽くできたらいい。

「レント」はそんな感じの、どこか希望と温かさのある映画だった。
私はあまりミュージカルというものが得意ではないので、なんでここで歌うのだ?!とか思ってしまうところはやはりあったけれど、でも、これをシリアスに演じていたら、全然希望のない、つらい映画になってしまっていただろう。
内容はかなり希望がない感じなのに(主要な登場人物の半分ほどがHIVだなんて......)、音楽の力ってすごい、と心から思った。
あとは役者の存在感のパワー。
......と、小説ではどうにもならないところに魅力のあった映画でしたが、でも、何度も流れる音楽の歌詞は素直に心に響いてきた。
結局今しかない。後悔していたら大切な今を失ってしまう。
そんな感じの内容。
そうだなぁ、結局生きられるのは、過去でも未来でもなく、今現在。だったら今を最高に慈しみ、味わい尽くそうよ、って思った。
この映画のためばかりではなく、最近ちょっとそんなことを思う。

最近聞いて心に響いてきた言葉。

「あなたがくだらないと思っている今日は、
 昨日亡くなった人がなんとかして生きたかった
 なんとしてでも生きたかった
 今日なんです」

最近メルマガにもはまっている、「名言セラピー」の言葉。
なんかこの言葉とよく共鳴する映画でした。

 

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