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2006年1月17日

三崎亜記 「となり町戦争」


となり町戦争 (集英社文庫)となり町戦争 (集英社文庫)

集英社 2006-12
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 2004年の小説すばる受賞作。
 なかなかおもしろかった。よくこういう作品を思いついたなぁという感じ。自分の住んでいる町ととなりの町の間で知らない間に戦争が始まり(町の広報誌の片隅に戦争が始まると書いてあるというところから、静かに物語は始まる)、実感がわかないままに巻き込まれ、人が死に、そしてよく分からないまま戦争が終わる。小説すばるはエンターテイメントの賞のはずだけれど、とりたててドラマチックに描き出そうという感じでもなく、淡々と戦争が起こっている感じが、逆にリアル。あぁ、今の、戦争を知らない世代にとっての戦争ってこういう感じだよなぁ、と納得する。
 私はまだゲーム世代っていうような世代でもないけれど(でも小学校の低学年の頃ファミコンが出た世代)、でも現実感が希薄だということは時々思う。もっと上の世代にとっては、現実ってもう少し確かな手触りのあるものなんじゃないだろうか、と。
 そういう、なんとなく「希薄」だという感覚だけはある私たちの世代(まぁ三崎さんは私より五歳年上らしいが)には、結構「分かる」話だった。
 三崎さんは「役人」らしいが、役人仕事のおかしさも婉曲的に批判しているようでもあり、でも、私たちの感覚の希薄さと同じくらい、そういう仕事に対しても、「まぁ、しかたないのかも」という視点を持って書いている感じがする。結構重いテーマを扱っているようでいて、結局この話を覆っているのは、あきらめの感覚。
 視点とか設定とか、変にドラマチックにしないで抑えた感じに物語を進めるところには力を感じた。
 ただ、書きたいテーマを作者の言葉で書きすぎているところが気になった。もっと作者の意見は抑えた方が、読者に、不気味さや問題を感じさせることができるのに、と。そこは惜しい。
 でも静かに心に残る作品ではあったと思う。しばらくしたらまた読み直したくなるかもしれない。

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