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2005年8月26日

地底音楽堂計画

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ジオサイトプロジェクト第四弾の「地底音楽堂計画」に行ってきました。
くわしくはこちら

前、プロジェクト第2弾「沈黙のシールドマシーン展」には行ってきたのですが(そのときの日記はこちら)、今回はもう共同溝が開通し、「トンネルウォーク」ができるようになっていました。
歩くと40分ということで、私は歩きませんでしたが、明日あさっては共同溝が一般に開放され、歩けるようになっているらしいので、興味のある人は是非!
左の写真は地底30メートルくらいから、地上を見上げて撮ったものです。


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音楽堂は、こんな感じの、思いっきり仮設テントみたいなところでした。
地下は常に水滴が降ってくるような場所で、それを避けるためのテントなのでしょう。
てっきり昨日の台風のせいで水が漏っているのだと思ったけれど、唐沢さん曰く、地下だと人の出す水蒸気や汗が上っていって壁で冷やされて降ってくる、とのこと。
しっとりしていて素敵なような、汗って聞くと汚いような......(^^;)


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音楽会自体はなかなかおもしろかったです。楽器を演奏するというより、様々な身近なものを鳴らしてみたという感じの、メロディーのあまりないリズム中心の音楽でした。
でも、もう一工夫したらもっと地下の雰囲気を活かせたのになぁとか思ってしまった(音楽はさっぱりわかっていませんが......)。あと、手際が悪かったのか何なのか、始まるのが30分もおすのはいかがなものか......。ヘルメットずっとかぶって、パイプ椅子に三時間ぐらい座っているのはつらいっ。

けどタダでこんな経験させてもらえるなんて、それはやっぱり得した気分。
どうもありがとうございました!

矢沢あい「NANA」


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集英社 2000-05
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久しぶりにマンガにはまった。
中高生に人気とさわがれていたものなのに、私って案外精神年齢低いのかもしれない......。いやぁ、普通に楽しく読めてしまった。
少女マンガなのでやはり中心は恋愛の話。でも「りぼん」に掲載のマンガの台詞で「男なんて好きじゃなくたって簡単に寝られるんだよ」みたいなものがあるとは、時代も変わったものだ。Hシーンも結構多い。そして作者の趣味なのか、お風呂でよくしている(笑)......っていうのはどうでもいいけど。

1巻から最新の13巻まで一週間ほどで読破した。でも、さすがに途中からまんねりを感じるなぁ。
5巻くらいまでがとても良かった。かなり泣けた。一番泣けたのは3巻の別れかな。予期できなかったので。
でも、主人公「奈々」と同化して悲しんだり痛みを覚えたりするのだけれど、それが主人公の回復と同時に、自分でもふっきれてくる。もうあんな男いいさ、みたいに。
そこまで同化させちゃうってすごいなぁと本当に感心した。
小説でもマンガでも力のある作品って、登場人物が実在するとしか思えないパワーを持っている。本を読んでいないときや読み終わったあとにもついその人物のことを考えてしまう。小説で一番そうなったのは乃南アサの「風紋」だけど、共感できたり、応援したくなるキャラクターって重要だ。

奈々の気持ちもナナの気持ちもよく分かった。
大人になった私には、そこまで「恋愛命」というふうにはなれないし思えないけれど、そうなっていた時期は確かにあり、その頃は傷ついたり、悩んだり、結構ぼろぼろだったけれど、それでも恋愛は人を育てるんだなってことを、「奈々」の姿を通してどこか冷静に捉えることができ、それによって自分自身の過去も肯定してあげられるような気がした。

きっと若い子達は、「これからこんな恋をしたい!」と思いながら読むのだろうけれど、30になって読むと、「あぁ、こんな恋もあったなぁ」って感じになる(笑)(あ、私だけ? 老け込んじゃってる?(^^;))

今度このマンガは映画になるらしい。ナナ役は中島美嘉。写真を見るととても似て見える。いいなぁ。でも奈々は......個人的にかなり好きなので、多分誰がやっても「奈々はもっとかわいいのに!」と思うだろう(笑)
映画の話は何巻までのものなのだろう。そのあたりだけ気になるけれど、まぁ映画は多分いかないや。
小6の生徒が行きたいって言っていたし、多分私はターゲットじゃない。明らかに......(苦笑)

でもマンガはなかなか良かったので、そんなに若くない方も、機会があったら読んでみてね、とだけ書いておきます!

2005年8月18日

白岩玄 「野ブタ。をプロデュース」


野ブタ。をプロデュース野ブタ。をプロデュース

河出書房新社 2004-11-20
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このあいだ書いた「人のセックスを笑うな」と同時に文藝賞を受賞した小説。
「コミック世代」だ、「軽い」だ何だと言われながら、芥川賞の候補にまでなり、今度は亀梨和也(KAT-TUN)、山下智久(NEWS)主演でドラマ化されるらしい。なんか、おいしい道を突っ走っているなぁ。素敵!

(でも、「俺」が格好いいのは分かるけれど、格好いい主演二人って、俺ともう一人は誰なんだ?! 野ブタは主演じゃないのか?!)......と、私が熱くなっても読んでいない人には伝わらないか(^^;)

 私は結構この本は好き。自分が目指す方向とはかけ離れた方向に走っているから、闘争心も湧かず、素直に読者として誉められてしまうのかもしれないけれどね。
 確かに少年マンガらしい色は濃く出ているし、でもマンガになりきれていず、変に文学としてまとめようとしているところが、尻すぼみな印象になってしまったりもするのだけれど(でもこういうラストだから、芥川賞の候補にまでなれるのだろうけれどね。もっとただ突っ走った、おもしろいだけの作品だったら、純文学会からは無視されていただろう)、それでも、やっぱり「今」の感じをきちんと「等身大」で描き出している感じに好感が持てた。
 それになにより楽しく、スムーズに読み切ることができる。それは重要だ。笑いのツボは合っているような合っていないような感じで、時々、向こうの世界だけ熱い......と思うところもあったけれど、ところどころ電車の中でもにやついてしまうくらいおもしろかった。「コミック世代」なのはそうだろうけれど、コミックを読んで育ったすべての人が、同じだけの笑いや軽やかさのセンスを身につけられるわけではないのだから、コミックの真似であろうと、白岩さんはちゃんと「技」を身につけている人だと私は思う。

 今回の作品はストーリー的にも目の付け所が良かったというのはあるだろうけれど、「初めて書いた作品で勢いで賞を獲ってしまった」というような感じに話している専門学校生(白岩さん)をテレビで観たときとは違い、作品を読んだあとは、まだ3作は行けるな、という気がした。このちょっと独特な笑いと軽やかさはきちんとした「文体」になっている気がするから。

 多分、小説を書いている人や普段から読書をしている人にこの作品を読ませたら、大部分は「おもしろいけれどねぇ......」というくらいの感想だろうと思う。だからまぁ、敢えて「是非読んで」とは薦めないけれど、私はこの作品、結構好きでした。そして次回はコミックと文学の狭間で中途半端になることなく、独自の世界観をきっちりと築き、もっとインパクトに残る作品を書いてもらいたい!などとちょっと偉そうなことを言って、締めてみます(笑)

2005年8月15日

読書の効能?

今日、朝日新聞の記事に、活字離れは子供より親の方が深刻ということが書かれていた。確かにそうだよなぁ、子供には「学校の図書室」があったり、「読書感想文」があったりするけれど、大人にはないからね。ただ一ヶ月に○冊以上、って子供の本と大人の本では読める冊数は変わってくるのだから、そこを比べるのはいかがなものか......と思った。

と、その記事の内容にはけちもつけたくなったけれど、一つ面白いことが書かれていた。そのアンケートでは読書の冊数を聞くのと同時に、「楽しいことは多いか」というようなことも聞いたらしいが、その結果、読書を多くしている人ほど、生活全体に楽しいことが多いと答える人の割合が大きかった......とのことだ。
本をたくさん読む=友達と馴染めず図書室や教室の隅にひっそりと隠れている少女(少年)という印象もあるけれど、実はそれは本を読まない人の作りだしたフィクション像なのかもしれない。
実際小学生の生徒などを見ていると、本当に楽しそうな元気な子には、適度に勉強もできるし、結構楽しそうに本を読んでいる子が多い。

記事ではその理由を、本を読むことによって知識が広がり、実生活でも視野が広がりそれが楽しさの発見につながっているのではないかと分析していたけれど、実際はどうなのだろう。
ただ子供の頃は世界は本当に学校という狭い世界だけだったから、世界はそこだけではないと教えてくれる本の世界はとても貴重なものだよなと思う。
そして大人の世界は、子供の世界ほど分かりやすく閉じているわけではないけれど、やっぱり限られた狭いものだから、そこから外へ出ることを教えてくれる本の存在は大切なのかもしれない。

私自身はやっぱり好きな本に出会えればそれだけで幸せになっちゃうし、「読書」の恩恵をたくさん受けている方だと思うけれど、改めて、人や人生にとって「本」とは「読書」とは何なのか、人は本に何を求めているのか考えられたらいいなと思った。

2005年8月13日

「人のセックスを笑うな」山崎ナオコーラ


人のセックスを笑うな人のセックスを笑うな

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 この題名は成功しているのか失敗しているのか......。やはりそのあたりが気になってしまう。
 正直、この作品はこのタイトルでなければ受賞しなかっただろう(これは去年の「文藝賞」受賞作)。でも、このタイトルからすごい内容(?)を期待して手に取ってしまうと、「なんだ......」と肩すかしをくらう。もしタイトルがごく普通のものだったら、「あっさりしているけれど爽やかで、気持ちも分かるし、なんといっても読みやすくていいね」と言われるだろうに、変に期待させるから、「大したことないなぁ」と思われてしまうのだ、多分。


 内容は、19才の美術専門校の男子生徒と39才の結婚している美人でもない先生の恋愛、というもので、そう珍しい感じてもない。ストーリーの運び方も、主人公「オレ」の感じることもごく普通。
 長さも多分原稿用紙150枚弱くらいなのだろう。一冊の本にはなっているが、一ページの文字数も少ないし、改行も一行空きも多いし、視覚的にも軽く、すかすかな感じがする。
 だから読みやすいというものあるけれど、物足りないというのもある。

 でもやっぱりこの作品の一番いいところを挙げろと言われたら、「読みやすい」その一言に尽きる。短さもあるだろうけれど、それだけではなく、多分技術なのだろうな。最近思うけれど、読みやすい文体というのは強力な武器だ。特に昨今の、「活字離れ」が叫ばれる一方で若者が小説を書き始め、「コミック世代」と言われる年代が進出するようになった世では。
 自分の文章も決して読みにくい方だとは思っていないけれど、やはり自分の癖は色濃く出ているし、人に言わせると、「慣れれば味だと思えるけれど、初めはちょっと鬱陶しく思われるかも」というものになっているらしい。
 読みやすい作品はさらりと読み終わってしまい、なかなか分析する余裕もないのだけれど、そういう作品ほど手元に置いて何度も読んで、読みやすさとはどういうところから生まれるのかしっかり見ていかないといけないのかもしれないな。

 正直内容的には、読み終わっても特になにも心に残らない、薄っぺらい印象で、「こういうので受賞できるのは運が良いよな」とか「タイトルが命のものもあるのね」とか言いたい気もするけれど、ま、そんなふうにひがんでいても仕方がないので、とにかく謙虚に学ぶ姿勢でいたいね。
 今回は「読みやすい文体は大切」「タイトルのインパクトも重要な武器」ということを学べたので、充分です。
 次は、この作品と同時に受賞した「野ブタ。をプロデュース」も図書館の順番が回ってきたので、それも読んで感想を書きたいと思います。

2005年8月10日

安達千夏「あなたが欲しい」


あなたがほしい (集英社文庫)あなたがほしい (集英社文庫)

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七年前の「すばる文学賞」受賞作。
五年前から「すばる」の受賞作を読むようにしているので、最近のものはほとんど読んでいるのだけれど、新しいのを読みつつ、たまには遡って。

どこの文学賞でも同じだと思うけれど、受賞したからといって、そのまま文壇に残れるかというとそうではない。生き残っていかれる(つまり、2作目、3作目を本にできる)人は3人に1人もいない計算ではないかと思われる。
そのなかで安達さんはきちんと生き残り、本を出し続けている作家だ。


普段は受賞してすぐに作品を読むので、その一作を読んでみて長く生き残りそうか、芥川賞の候補になりそうかなどと予測しながら読むのがちょっと楽しかったりする。
大抵私の読みは当たる。「なんでこんなのが......」と思うと、その作家は大抵一作で終わる。
何を偉そうなこと言っているんだという感じだけれどね(笑)
でも、とりあえず良い作品を見抜く目はあるということだから、あとは自分の作品を冷静な目で見られるようになりさえすればいいということなわけで。多分。

と、話はずれまくっているけれど、この作品は、「今もきちんと活躍している作家の受賞作」という知識がなくても、「この作家はいいところまでいく」と思っただろうな、という確かな手応えのある「受賞作」だった。
簡単にまとめてしまうとこれは、女性に恋愛感情を抱きながらも、男とセックスをする女性の話。ただその男とも恋愛感情ではない、もっと深い「同士感覚」みたいなもので結ばれているのだけれど。
多分作品の半分近くは性的なシーンに割かれている。セックスの描写のある小説はいまどき珍しくもないけれど、ここまでしつこく描かれているのはちょっと珍しい気がした。
ただ初めはその性的な表現や欲望のストレートな表現がいいだけなのでは、と思っていたし、主人公の女性にどうも共感できなかったのだけれど、次第に彼女の気持ちが少しずつ分かるようになっていった。そして、その「説得力」に触れたとき、上手いなぁと素直に思った。彼女が「家族」というものを否定しながらも、家を売る仕事を続けていること、幸せな家族を持つ同級生に初めは批判的な感情を持ちながらも、次第に心を通わせていくこと、彼女と体の関係のある男が、チンパンジーやジャングルに惹かれていること、彼女の好きな女の子が美術に興味を持っていること......すべてが段々と「必然的」なことに思えてきた。
主人公も少しずつ自分の心を真っ直ぐに見つめ、社会から批判されないための鎧を少しずつ外して素直になっていく。そして多分、一歩幸せに前進する。
初めは現実や家族や愛というものにとても批判的な、暗い作品だと思ったけれど、それがしっかりと明るい方へ向き始める。一般的なハッピーエンドではなくても、彼女たちなりの形での。
私は彼女たちとはまったく違う世界に生きているのに、それでもなぜか応援したいような、ほっとしたような気持ちになった。
そして、それってすごいことだなぁと感じた。上手い!


個人的に好みかどうかと聞かれると、ものすごく好きというわけではないけれど、嫌いではない。そして、この人の技術をもっと学びたいという意味で、他の作品を読みたくなった。
深みがあり、なおかつ人の心を温かくできるような作品を書きたいな、私も。

2005年8月 4日

「皇帝ペンギン」


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気になっていた映画、見てきました。
夏に上映して正解。冬じゃ、凍え死にそうな気分になっちゃう......って感じの映画でした(笑)
とにかく白い氷と雪に覆われた世界と、数え切れないペンギンだけの出てくる映画。
でも退屈はしない。

ペンギンが人間と同じ思考を持っているはずはないのだけれど、一生懸命に歩いたり、寒さを乗り越えようとしているペンギンを励ます気持ちになったり、苦労して育てた子供を寒さや飢えでなくしたペンギンに悲しみを覚えたり、結構「ペンギン」とはいえども共感できるように作られていて、飽きなかった。
実は「ディープ・ブルー」のときは綺麗ですごいなぁと思いながらも3分の1くらいは眠りの世界にいたので、それと並び評される「皇帝ペンギン」もちょっと心配だったのだけれど、杞憂に終わりました。

この映画を見て、もちろん、生命の尊さや力強さは感じた。自然の美しさや厳しさも。ただ一番感じたのは、「ペンギンって大変なんだな~。ペンギンじゃなくて良かったな」という子供みたいな感想......(^^;)
あと次に感じたのは、「結局動物が生きるのは、子孫を残すというそれだけのためなんだな~」ということ。
卵をあたためるために、凍りつきそうになりながらも4ヶ月何も食べずに立ちつくしているオス。孵った雛に餌を与えるために、氷の道を20日間かけて歩いてもどるメス。もしペンギンに人間のような思考能力があったら、「俺って何のために生きているんだろう。こんな人生つまらない」と身を投げてしまいそうなのに、当たり前だけれどペンギンはそんなことはしない。......当たり前なんだけれど、なんかそれってすごいなと思い、自我のある人間が幸せなような、でも実は考えすぎるがためにとても不幸のような、複雑な気持ちを抱いた。

あと私が見たのは日本語吹き替え版だったのだけれど、お父さん→大沢たかお、お母さん→石田ひかり、子供→神木隆之介と、声がなかなか素敵だった。普段映画館で吹き替え版をみることは滅多にないけれど、どうせペンギンがしゃべっているわけじゃないので、「口の動きとあっていない」と思うでもないし、結構吹き替え版、良かったかも。
日本語で話されるとより一層ペンギンに親近感が湧く。神木くん、声だけでもかわいい~。

過酷な状況で命を奪われるシーンや、悲しい場面も結構あったけれど、それでも心は温まる映画だった。機会があったらもう一回見てもいいというくらい。基本的にペンギンが好きなので。どうやら私はペンギンに似ているらしいし......。
ということで、おすすめの映画です!

2005年8月 1日

島本理生「ナラタージュ」


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はまった。
島本さんの作品は、以前読んだときから、上手いなと感じたけれど、今回はもう、若い作家だとかそんなことは忘れ、純粋に楽しませてもらった。
本を読んでいる時間をこんなに愛おしめたのは久しぶり。
ツボにはまったという意味では、ばななさんの「白河夜船」以来かも。
ただまぁ、「白河夜船」をばななさんの代表作と言う人はいないように、私の好みは人とちょっとずれているかもしれないので、非常に主観的な評価だけれど。

最後の方はかなり泣ける。
もっとわがままを言って引き留めれば、一緒にいられるんじゃないかと思ってしまう。
お互い必要とし、惹かれ合っているのに別れるのは悲しい(最後別れるのは、初めからきちんと書かれていて分かるので、ネタバレしているわけじゃないですよ)。
けど、相手のことを思いやったり、そう言いつつ実は自分が傷つくのが怖かったりして、あと一歩を踏み込めず、大切な人を手放した経験が、次の恋を手に入れる力になったりはするのよね......なんて、もう遠い昔の自分を思い出してみたりする(笑)

私がこの本にはまったのは、「切なさ」を上手く描いているものだったから。私が一番美しいと感じる人の感情は「切なさ」。もちろん「思いやり」とか「愛情」っていうのも美しいのだけれど、書き手として一番心を惹かれるのは「切なさ」なのよね。
だから本当、こういう話には弱いね......。
葉山先生も、小野くんも上手く描けていて、魅力が伝わってきたし、それぞれの別れとかマイナスの感情とか、そういうものの理由もよく分かった。多分設定の細かいところまで気を使っているのだろうな、色々なことがとても納得できて、だからこそ、どうにもならない感じが切なかった。

正直、かなりの長さだから、途中ちょっと中だるみを感じるところもあったけれど、でもやっぱり全体としてこれだけの長さがあり、時間があり、淡々としているようでいて、すべての時間には意味があり、この話ができあがっているという気がした。
以前読んだ小説の書き方の本で、短編では必要最低限のことを書くように心がけないといけないけれど、長編では冗長に感じられるところにこそ個性が出るから、削りすぎない方がいいと書かれていたけれど、そんな感じかもしれない。
ここのところしばらく50枚くらいの作品を書いていたので、長い作品も書きたいなぁという気持ちになった。

色々語りたいことがあるようで、いい作品って結局は自分の心のなかで「良かったなぁ」と完結してしまうところもあり、上手く語れない......。
あと最近ついついリンクを貼るついでにアマゾンで人の評価を見てしまうのだけれど、意見って本当さまざま分かれるものなんだなぁ~と感心するほど。
だから、すごくいいから読んで!とは薦められないのだけれど(分かる人には分かるけれど、分からない人にはさっぱり分からないだろうタイプの小説だし......)、ま、是非気が向いたらちょっと手にとってみてください! 10~20ページぐらい立ち読みして、すっと入りこめたら、きっとおもしろくて一気に読めるはずです。

 

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